研究課題/領域番号 |
20K15494
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
高橋 大輔 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (20784961)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 植物 / 凍結耐性 / 低温馴化 / 細胞壁 / プロテオグリカン / アラビノガラクタンタンパク質 / 糖鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
植物が凍結温度に曝されると、細胞外に形成された氷晶の拡大に伴って不可逆的な傷害を負う。したがって、植物の凍結耐性には細胞の最も外側に存在する細胞壁や細胞壁の物理化学的性質が影響すると考えられる。本研究は、細胞壁および細胞膜に存在する糖タンパク質「アラビノガラクタンタンパク質(AGP)」が低温に応答することに着目し、AGPの糖鎖やコアタンパク質の詳細な構造・組成を通じて、AGPが植物の凍結耐性に及ぼす影響を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、植物の主要なプロテオグリカンであるアラビノガラクタンプロテイン(AGP)の機能を解明することを目的に行なった。膜結合型および遊離型として存在するAGPを分画し、各AGPの糖鎖構造を推定した。その結果、膜結合型AGPは遊離型AGPに比べてより複雑な側鎖構造を持つことが示唆された。さらに、植物を低温に曝した際にAGPの糖鎖に含まれるグルクロン酸残基が増加することがわかった。これは、AGPがもつ細胞外カルシウムキャパシターとしての働きと関連していると考えられる。これらの結果から、これまで平均構造しかわかっていなかったAGPの局在部位特異的構造と、その環境応答性を明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、AGPは糖鎖の構造的多様性や解析の困難さから、その機能や生物的意義は未解明な部分が多かった。本研究により、新たにAGPには局在部位特異的な構造を持っていることが明らかになり、今後のAGPの研究に大きく資する知見を提供できたと考える。また、AGPの糖鎖が温度変化に応答して変化することも明らかになり、植物の持つ環境適応能力をより深く理解する上で、遺伝子やタンパク質のみならず、多糖や糖タンパク質など、より複合的な性質を持つ生体分子にも着目する必要性を提案することができた。このことは、気候変動の進行に伴って望まれる有用作物の、環境応答能力の向上にも資する基盤的知見であると考える。
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