研究課題/領域番号 |
20K15499
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小林 和香子 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (30735337)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | LEF-1 / EMT / β-カテニン / Wntシグナル / CRISPR/Cas9 / Smad / 銀染色 |
研究開始時の研究の概要 |
上皮細胞の細胞間接着性が失われ上皮- 間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition:EMT)へと誘導されることで癌細胞転移が起こる。Wntシグナル伝達経路で働く転写因子lymphoid enhancer-binding factor 1 (LEF-1)とβ-カテニンが結合することでEMTが誘導すると報告されているが、申請者はβ-カテニンがなくてもEMTが誘導されることを実証し、β-カテニン以外の別な分子とLEF-1の結合がEMTを誘導することを示唆した。本研究では、LEF-1と結合し、EMTを誘導する分子を明らかにする。
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研究成果の概要 |
LEF-1による上皮-間葉転換(EMT)に関して、β-カテニンが必要ない事が証明された。LEF-1がβ-カテニンとは違う分子と結合し、EMTを引き起こしていると考え、LEF-1のEMT誘導境界領域の探索とLEF-1の新規結合相手の探索を行った。LEF-1によるEMT誘導において重要な部分が、LEF-1のアミノ酸198-211番目であることを突き止めた。EMTを誘導した細胞株は、EMTを誘導しない細胞株に比べ、遊走能、浸潤能も亢進していた。LEF-1の新規結合相手の探索に関しては、Smad分子をターゲットとしたが、免疫沈降による共沈は得られなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Wntシグナルは一般的には下流の転写因子LEF-1がβ-カテニンと結合し、EMT誘導転写因子の転写を活性化させる。しかし、本研究結果はβ-カテニンと結合できないLEF-1変異体でもEMTを誘導し、EMT誘導の境界を同定することができた。実際、臨床検体ではLEF-1とβ-カテニンの非共局在や、β-カテニン結合部位であるN末端を欠損したΔNLEF-1で皮脂腺腫瘍を形成するという報告がある。今回の研究成果は、「β-カテニン非存在下でもLEF-1によるEMT誘導が起こる」ことを意味し、「β-カテニンとは独立したLEF-1が絡む新たなシグナル伝達経路」の存在を示したことに学術的意義がある。
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