研究課題/領域番号 |
20K15504
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 (2022) 岩手大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
殿崎 薫 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教 (20749494)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 生殖的隔離 / 野生イネ / 胚乳 / ゲノムインプリンティング / エピゲノム / イネ / 胚乳発生 |
研究開始時の研究の概要 |
種間交雑で見られる胚乳発生の異常は、雑種形成を妨げる生殖的隔離の主要因であり、その打破手法の確立が求められる。しかし、様々な植物種における交雑実験の結果から、種間交雑によって生じる胚乳発生の異常には、一定の法則性が見出されているものの、その分子メカニズム解明には至っていない。申請者のイネを用いたこれまでの研究から、雑種胚乳ではエピジェネティックな制御機構(エピゲノム)の異常が生じており、胚乳発生の異常の原因である可能性を見出してきた。そこで本研究では、種間交雑によって引き起こされるエピゲノムの異常の検証とその原因解明により、胚乳における生殖的隔離の分子メカニズムに迫る。
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研究成果の概要 |
栽培イネと野生イネの種間交雑で得られる雑種種子は雑種胚乳の発生異常によって致死を示す。本研究では、雑種胚乳では、ゲノムワイドな父親特異的なインプリント遺伝子の片親特異的な発現パターンに乱れが生じることを明らかにした。また、それら父親特異的なインプリント遺伝子は、抑制型ヒストン修飾であるH3K27me3によって片親特異的な発現が維持されることを明らかにした。加えて、H3K27me3修飾に関わるポリコーム複合体の変異体系統を利用した種間交雑実験において生殖的隔離を打破することに成功しており、胚乳における生殖的隔離が雑種胚乳におけるH3K27me3修飾の異常が関与することを示唆する結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
胚乳で見られる生殖的隔離は、様々な植物種で観察されるものの、その分子メカニズム解明には至っていなかった。本研究では、その分子メカニズム解明への足がかりとなる成果を得た。また、物種に近縁な野生種は、既存の栽培種には存在しない様々な環境適応能力を保持した優良な遺伝資源であるが、生殖的隔離のために遺伝資源のほとんどが利用されていないのが現状であった。本研究成果によって野生イネとの種間交雑を打破することに成功したことから、これまでは育種利用が不可能であった野生イネを遺伝資源として利用可能となることが期待される。
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