研究課題/領域番号 |
20K15516
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
榎 真一 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40759312)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 甲州ブドウ / ブラシノステロイド / 栄養成長 / シュート伸長 / VvCYP90D1 / Vv90D1 / ブドウ / 新梢 / 茎 / CYP90D1 |
研究開始時の研究の概要 |
ブドウの茎長は樹勢、果実品質・収量に直結するが、制御機構は多様である。極めて茎が長い醸造用品種「甲州」を欧州慣行法で栽培した場合、樹勢が強くなり空間あたりの収量は激減する。日本では樹勢を抑制し多収量を目指す栽培法が考案されているが、「労働性」「果実品質・収量」などに未だ問題は多い。 これら課題解決のため、過去の文献からブラシノステロイド(BR)に着目し、甲州では、『ゲノム構造変化により、BR合成遺伝子Vv90D1が高発現することでBR蓄積が誘導される。そしてBRが新梢に作用し新梢成長が促進される』という仮説を提案する。本研究では、果実増産のための茎長抑制技術の開発を目指し、新規仮説を証明する。
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研究成果の概要 |
強樹勢品種「甲州ブドウ」の新梢伸長制御機構において、ブラシノステロイドとその合成遺伝子VvCYP90D1が関与しているという仮説を立て、分子レベルで検証した。甲州および他品種群との比較ゲノム解析により、甲州は植物細胞壁組織の遺伝子において基準品種と比べて異なる遺伝的特徴が明らかになった。RNA-seq解析では、甲州の葉や茎においてVvCYP90D1の発現量が高く、遺伝子機能解析ではVvCYP90D1過剰発現シロイヌナズナにおいて、当該遺伝子が栄養成長を促進することが示された。これにより、強樹勢品種におけるVvCYP90D1と茎伸長の関連性が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、強樹勢ブドウ品種「甲州」の栄養成長に、ブラシノステロイドおよびVvCYP90D1遺伝子が関与する事を証明し、ブドウの新梢長制御機構の一端を解明した。甲州ワインの国外輸出が注目される中、新梢長制御に関する理解不足が課題となっていた。ブドウの新梢長を効果的に制御する技術開発は、高品質で多収量のブドウ栽培を可能とし、世界市場で競争力を持つための戦略的な重要性がある。本研究の知見は、矮性品種育種や作業効率や果実品質の向上に繋がる新規栽培技術の開発への基盤を提供することが期待される。この研究は基礎研究から実用化へと繋がる応用性を有し、ブドウ農業およびワイン産業の発展に寄与するものと言える。
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