研究課題/領域番号 |
20K15538
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 奈良教育大学 (2022) 基礎生物学研究所 (2020) |
研究代表者 |
小長谷 達郎 奈良教育大学, 理科教育講座, 准教授 (80837790)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 異型精子 / 鱗翅目 / 精子二型 / チョウ目 |
研究開始時の研究の概要 |
同一のオスが複数の精子をつくる精子多型は、様々な分類群の動物で報告されてきた。鱗翅目昆虫の場合、ほとんどの種のオスが通常の精子である有核精子と受精能力のない無核精子という2種類の精子をつくる。無核精子は全精子の大半を占め、カイコでは、無核精子が受精に不可欠な役割を果たすことがわかっている。本研究では、不明点の多い無核精子の生理機能に関する実験を展開する。これにより精子多型の生態学的意義や進化プロセスにも新たなアプローチが可能になると期待される。
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研究成果の概要 |
動物界では様々な分類群でオスが複数のタイプの精子をつくる精子多型現象が知られてきた。このような動物では、受精能力を有する通常の精子を正型精子と呼び、受精能力のない精子を異型精子という。ほとんどの鱗翅目昆虫のオスは、正型精子である有核精子だけでなく、異型精子である無核精子もつくる。無核精子は、一般に有核精子よりも小型であるものの、チョウ類では全精子の約9割を占めるほど数が多い。しかしながら、無核精子の生理的特性は十分わかっておらず、その適応的意義や進化の理解の妨げになっている。本研究ではカイコガの生体より無核精子の走化性因子を抽出し、その特定を試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
異型精子の走化性に関する研究は極めて少なく、その走化性因子はどの分類群でも特定されていない。走化性因子の特定は異型精子の未知の側面に焦点をあてる研究といえ、その生理学的研究を飛躍させるのみならず、異型精子の適応的意義や進化学的プロセスの推察にも寄与する。さらに、カイコガでは無核精子が有核精子の受精に重要な役割を果たしていると考えられているため、無核精子の生理機能に関する研究は鱗翅目昆虫の人工的な繁殖技術の向上につながり、絶滅危惧種の生息域外保全にも貢献し得る。
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