研究課題/領域番号 |
20K15544
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 研志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80870188)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 微生物生態系 / 代謝ネットワーク / 環境保全 / 環境保全再生 / 環境再生 / モデル微生物生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
生物資源の保全は社会にとって必要不可欠である一方で、自然環境は刻々と減少しており、失われた自然を再生することが重要な課題となっている。本研究では生命に必須な物質循環の中核を担う微生物生態系の形成プロセス解明を目指す。その為に、複数種の分離菌株を用いたモデル微生物生態系を構築し、その動態を個々の微生物の代謝とその繋がり(代謝ネットワーク)として捉る。また、代謝ネットワークを化学反応式に落とし込むことでし、これまで概念として捉えられてきた微生物生態系の安定性の熱力学的定量評価方法の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は微生物生態系の形成、維持、変遷メカニズムの解明を目指した。そのために5種の異なるフェノール分解菌を用いた培養系の解析を行なった。その結果、5種の植菌順序が最終的な群集構造に影響を及ぼし複数の平衡点を持つことが示された。RNA-seq解析により群集構造変遷メカニズムを検討した結果、早期に群集構造が安定した培養系では優占種がフェノールを独占し、他の菌株は培養液中に分泌された代謝物に依存して増殖することが示唆された。一方で、不安定な培養系では複数種がフェノールを競合する状態にあることが示唆された。以上の結果から、微生物生態系は代謝ネットワーク形成により安定化することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では微生物生態系の形成過程が最終的な微生物群集構造を変化させることを示した。また、微生物間で代謝ネットワークが形成できるか否かがシステムの安定性に重要であることを示唆しており、微生物生態系の形成、維持変遷に関わる根幹的知見を得ることができたと判断できる。また、複合微生物群のデザイン、制御において、微生物種だけでなく形成される代謝ネットワークを考慮する重要性を示し、微生物利用技術の発展そして地球環境保全および再生に寄与できることから社会的意義も高いと評価できる。
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