研究課題/領域番号 |
20K15550
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
張 平星 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (40846383)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 庭園 / 火山岩 / 石材 / 帯磁率 / 採石場 / 石造物 / 石の文化 / 造園 / GIS |
研究開始時の研究の概要 |
火山大国と呼ばれる日本は、深成岩や堆積岩が主とした大陸と異なり色々な火山岩ができている。一方、古来の日本庭園は、地域の石材の形状や色彩を生かし、石組、飛石、石橋、灯篭、手水鉢など様々な石造物に加工されてきた。そこで日本庭園には、日本列島特有の火山岩文化の存在が予想される。 本研究は、日本列島の地質的特徴を意識し、文献調査と全国範囲の庭園調査の実施により、火山岩が利用される庭園の分布図を作成する。また、石材の形状・色彩・帯磁率などの計測により、火山岩の特性に応じた造園石材の利用方法を把握し、日本庭園に現存する火山岩文化の全体像の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は全国の火山岩石材に関する情報を収集・整理しつつ、都内の大名庭園の庭石調査を拡大し、中国地方の石材調査を実施した。 まず全国の造園石材から火山岩情報の抽出が順調であり、2023年度で公表する予定である。 次に都内の大名庭園の石材調査では、小石川後楽園と清澄庭園を調査対象に加えた。同じ江戸の大名庭園でも、江戸初期に作られた小石川後楽園と明治以降に大量な庭石を搬入した清澄庭園には、火山岩を基調とした石材の異なる使い方がみられた。調査結果は両庭園の講習会(計3回)でボランティアガイドと中高生に発信した。 中国地方の石材調査では、島根県の足立美術館と由志園・鳥取県の民家の庭において石材を確認し、帯磁率を取得した。また、地元有名な造園石材産地に関して、島根県の来待石(凝灰質砂岩)と大根島の溶岩(玄武岩)の石切場を訪問した。その結果、大根島の溶岩は大根島の由志園と鳥取県の琴浦町の民家の庭において、重要な石材として使われていることが分かった。由志園では多くの景石に自然石や柱状節理のままに使われているほか、石橋や延段に美しく加工された事例も確認できた。鳥取県の琴浦町の民家の庭では、均整な切石として蔵の基礎の石積みに使われている。この部分の研究成果は論文発表に向けてデータを整理している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年COVID-19感染拡大して以来、予定していた石川県・福井県・兵庫県・熊本県の現地調査が延期された。2021年度と2022年度は遂行しつつあるが、数回の緊急事態宣言と蔓延防止を経て、現地調査がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間は後半に入り、文献調査・庭園調査・石材産地調査のデータを整理しつつ、学会発表・学術論文・社会発信に重きを置く予定である。2023年前半では文献調査のデータと兼六園の石材調査の結果を発表する計画を立てている。また、福井県・兵庫県・熊本県の現地調査を実行し、日本庭園の火山岩文化の全体像を完成される。さらに2022年度に色彩計を導入済であり、2023年度に偏光顕微鏡を導入する見込みである。採石場から採取した火山岩サンプルについて、色彩の計測と薄片の作成・観察により、岩石の性質から類似石材の比較を進める予定である。研究成果は日本造園学会、日本庭園学会、文化地質研究会、第18回日中韓国際ランドスケープ専門家会議等で公表する。
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