研究課題/領域番号 |
20K15551
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宮坂 加理 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (00780173)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 乾燥地 / 砂丘地 / 土壌水分環境 / 草原植物 / キャピラリー・バリア / 植生変化 / モンゴル / 有効水分量 / 植生種 / 砂丘 / 草原 / ステップ草原 / 植生 / キャピラリーバリア |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は,モンゴルのフスタイ国立公園で,砂丘に隣接するステップ草原では,砂丘から離れた草原と比較して植生量の多いことを実際に観察した. 本研究では,フスタイ国立公園での植生増加の原因を突き止めるために,土壌水分環境に着目し,砂丘の存在が近隣の土壌水分環境および植生に与える影響を明らかにすることを目的とする.モンゴル国のフスタイ国立公園とエルセン・タサルハイ,中国内蒙古自治区ナイマン旗の砂丘と砂丘周辺の草原を対象とし,植生調査と土壌水分環境調査,シミュレーション解析を行い,砂丘のパターンを明示し,パターン毎に植物の生長に影響を与える条件を提示する.
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研究実績の概要 |
以前、寒冷乾燥地モンゴル国の首都ウランバートルから南西に100km離れたフスタイ国立公園において、砂丘地と隣接しているステップ草原の植生量が、砂丘と離れたステップ草原と比較して植生量の多いところが観測されていた。さらに土壌の断面調査を行ったところ、砂丘付近の草原の断面層は、上層が粘質土、下層が砂丘砂であった。大雨の直後の土壌水分分布から、上層と下層の境界では水分量が高くなっており、土層の境界が水の浸透を阻害するキャピラリー・バリアが発生したと考えられた。そこで、同じフスタイ国立公園を対象とし、砂丘と草原の位置関係と植生量を調査し、砂丘の存在によりキャピラリー・バリアが発生し、その結果植生量に影響を与えているのか詳細に調べた。 本年度は、2022年8月に行われた現地調査結果の解析を行った。砂丘とステップ草原の境界面を0mとし、砂丘から0m、3.6m、7.5mにおいて1m×1mの格子内を植生種毎に上部刈取を行う植生調査を3反復ずつ行った。刈取後は植物を乾燥させ、乾土重量の測定を行った。植生種は図鑑を参考にし、乾燥を好む種、湿地を好む種、両方を好む種の3種類に分類した。また、砂丘から0m、3.6m、7.5mにおいて土壌サンプリングによる含水比分布を1~2反復採取した。植生調査の結果、砂丘と草原の境界から離れるにつれて、植生量は減少していた。境界では湿地を好む植生も見られた一方で、3.6m、7.5mではほとんど見られず、乾燥を好む植生が増加した。土壌調査の結果では表層に粘質土が少しかぶっているものの、ほぼ砂質土であり、3.6mでは深度0-40cm程度が粘質土、40-90cm程度が砂質土、それ以深は再度粘質土であった。7.5mでは、130cmより上部が粘質土、下部が砂質土であった。含水比分布も土層の境界周辺で水分量が高くなっていた。以上から、砂丘の存在によりキャピラリー・バリアが発生していること、また砂丘に近いほど植生量が増加することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020、2021年に予定していた調査がコロナ禍により中断されたため、遅れがでている。しかし、2022年夏から現地調査を開始することができ、現地調査から得た結果も良好であった。この結果を元に2024年の現地調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年で得た結果と解析結果をもとに、フスタイ国立公園とエルセン・タサルハイでの調査を引き続き行う予定である。土層の境界深度が重要であることがわかったことから、土性の調査をしっかり行う予定である。
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