研究課題/領域番号 |
20K15559
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
赤路 康朗 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (50810256)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 植物-土壌フィードバック / 光合成 / 菌根菌 / ブナ / 冷温帯 / 気候変動 / 細根 / 葉緑素量 / ブナ林 / 大気二酸化炭素濃度 / 冷温帯林 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成機能や多様性といった様々なスケールを対象に、植物への大気二酸化炭素濃度増加の影響が注目されているが、そのメカニズムについては不明な部分が多い。本研究では、冷温帯林を対象として、植物の光合成能力と群集構造形成の両方に深く関与する菌根菌に着目し、野外調査と植物生育実験を組み合わせることで、大気二酸化炭素濃度の増加が主要構成樹種の光合成能力と樹木群集構造に及ぼす影響を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
高CO2環境では最大カルボキシル化速度の低下に起因する光合成のダウンレギュレーションが発生することが知られている.本研究では光合成ダウンレギュレーションが発生しやすい条件を明らかにするため,我が国の冷温帯林主要構成樹種であるブナを対象に栽培実験を実施した.結果として,高CO2濃度環境では,実生の外生菌根形成率と最大電子伝達速度(Jmax):最大カルボキシル化速度(Vcmax)比(Jmax/Vcmax)の間に正の相関関係がみられた.このことから,高CO2環境下で実生の菌根形成率が高いとカルボキシル化反応への資源分配が低下し,光合成のダウンレギュレーションが発生しやすくなることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では高CO2環境における光合成能力の低下(すなわち,光合成のダウンレギュレーション)が外生菌根の形成率といった地下部の形質と関連があることを示している.この結果は今後の植物の光合成能の変化を予測するモデルの発展に寄与する可能性がある.さらに,ブナの成長や光合成能力は他種成木土壌(イタヤカエデ等の林冠木近傍から採取した土壌)よりも同種成木土壌(ブナ林冠木近傍から採取した土壌)で生育させた場合に低く,この傾向は生育する大気CO2濃度で変化しなかったという本研究の結果は,今後のブナの更新パターンやブナ林の構造を予測するのに役立つと考えられる.
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