研究課題/領域番号 |
20K15561
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
山中 聡 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10804966)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 保持林業 / 森林性昆虫 / 生物多様性 / 枯死材性甲虫 |
研究開始時の研究の概要 |
皆伐は日本を含む多くの国で主要な木材生産手法として採用されているが、伐採時に森林の公益的機能を損ないやすいという欠点が存在する。この皆伐に代わり、伐採地に樹木を残すことで、公益的機能を維持しつつ木材生産を行う「保持林業」が近年注目を集めている。その一方で、保持林業で「どのような木を残すべきか」という残す木(保持木)の質についての検討は限られている。本課題では、枯れ木などを利用する甲虫(枯死材性甲虫)を対象とし、保持木の樹種や特徴(胸高直径など)がこれらの甲虫に与える影響を検証する。これにより、生物多様性保全効果が高い保持木の要因(樹種、特徴)を明らかにし、効果的な保持木選定手法の提案に繋げる。
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研究成果の概要 |
北海道の保持林業実証実験区にて、伐採地に保持された様々な樹種で複数の森林性甲虫グループを調査し、種数と個体数が保持木の樹種と太さによって変化するのかを検証した。その結果、最も種数と個体数が高い樹種はグループにより異なった。一方で保持木の太さが群集に及ぼす影響は限定的であった。本研究から、多様な樹種を保持することが、様々な森林性甲虫類の保全にとって重要であること、またいくつかの樹種は特定のグループに対して特に重要であること(クワガタムシ類ではミズナラ、オオキノコムシ類はカンバ立ち枯れ木)が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
伐採前の森林がもつ構造や生物を伐採後も長期にわたって残す森林管理である保持林業は、木材生産と生物多様性保全とを両立できる森林管理として注目され、日本の針葉樹人工林での有効性も実証されてきた。一方で、保持林業においてどのような木を残すべきか、という保持木の質についての検討は進んでこなかった。単一樹種の人工林では植栽木と地域の在来樹種との間で、生態的機能が大きく異なる可能性があるため、保持木の質は保持林業の効果を大きく左右する可能性がある。本研究の成果は、日本での保持林業の導入の際の選木基準や、保全効果を向上させるための方策を今後検討する上で重要な知見を提供すると考えられる。
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