研究課題/領域番号 |
20K15565
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
中村 慎崇 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (10867534)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 内生菌 / ビョウタケ目 / 分散 / 根部内生菌 / 子実体 / マイクロサテライト / 子実体発生 / 分類 / 子嚢菌 |
研究開始時の研究の概要 |
Hymenoscyphus monotropaeは小型の子実体を形成する根部内生菌の一種である。通常、腐生性や菌根性の近縁種は、胞子分散のため地上の基質上にディスク状の、あるいは地下にトリュフ型の子実体(キノコ)を形成する一方で、本菌はディスク状の子実体を地中に形成する。地下生のディスク状の子実体を形成する菌は報告例自体が極めて限られ、特にその分散生態はほとんど明らかになっていない。本研究では、二つのアプローチ、すなわち1)胞子トラップを用いた直接的な胞子の検出および2)子実体の集団遺伝構造解析を行うことにより、本菌を一つのモデルとして根部内生菌の分散生態に関する知見を得る。
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研究成果の概要 |
本研究ではHymenoscyphus sp.(以下、本菌)をモデルとして根部内生菌の分散生態に関する知見を深めることを目的とした。国内で本菌子実体を収集し、580分離菌株を確立した。培養性状の違い及び複数遺伝子座に基づく系統解析から、今回収集した菌株が種複合体を形成していることが示唆された。このうち最も広範囲に分布した一系統に着目し、SSRマーカーを用いた集団遺伝学的な解析に供した結果、有意な集団遺伝構造が検出されたほか、集団間の地理的な距離が大きいほど遺伝的な距離が大きく、本菌が地上生の近縁種と異なる胞子分散の様式や分散能力を持つことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で対象とした菌の宿主となるブナ科樹木は国内に広く分布するにもかかわらず、その根部内生菌については記載的な研究も未だ不十分である。本研究では国内で報告されていなかった植物根に発生するHymenoscyphus属菌を収集・整理することで根部内生菌の知られざる生物多様性の一端を明らかにした。さらに、本研究により得られたHymenoscyphus属菌の分散様式及び分散能力に関する知見は根部内生菌群集の形成メカニズムを考える上で役立つと考えられる。
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