研究課題/領域番号 |
20K15576
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
頼末 武史 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (50766722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 幼生 / 着生 / 海水溶存性着生誘起フェロモン / 種特異性 / 濃度依存性 / 温度環境 / 蛍光タンパク質 / 視覚シグナル / 着底 / 付着生物 / フェロモン / フジツボ / 飼育実験 / キーストーン遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋生態系において基盤種として知られる付着性動物は、浮遊幼生期間を有することで海洋中を分散し、着底場所の選択を経て成体へと成長する。着底場所の選択性は同一個体でも環境要因によって変化することや、遺伝的変異によって個体間で異なる可能性が考えられる。このような着底場所選択性の変化は、付着生物による基盤構造を変化させることで種多様性創出に重要な役割を果たしていると考えられるが、その分子基盤は未解明である。そこで本研究では、室内外において環境要因を操作した条件下でサンプリングした個体を用い、遺伝子発現解析、遺伝子多型解析を実施することで幼生着底場所の選択性に関わる分子基盤を解明する。
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研究実績の概要 |
前年度に明らかにしたタテジマフジツボの海水溶存性着生誘起フェロモンの濃度依存的な着生誘起活性に関する論文を投稿して出版した。またタテジマフジツボの近縁種であるヨーロッパフジツボの海水溶存性着生誘起フェロモンの組換体タンパク質を新規で作成し、タテジマフジツボとヨーロッパフジツボのキプリス幼生及びフェロモンを用いたプレート着生実験を実施し、同フェロモンの種特異性について検討した。その結果、異種のフェロモンに対しても同種のフェロモンと同様に反応したことから、同フェロモンには種特異性がないことが示唆された。 また、北米太平洋岸原産の外来種であるキタアメリカフジツボを対象に、温度環境に関する着生場所選択の分子基盤を解明を目的として、緯度勾配及び潮位勾配にそってサンプリングした個体を対象に実施したRestriction Site Associated DNA Sequence (RAD-seq)のデータ解析を進めた。その結果、温度選択に関与していると推定される遺伝子座を検出した。またこの研究の過程で、本種の起源が国内生息域全域においてアラスカ~カナダ沿岸の集団であり、先行研究の結果との比較解析から、2000年代から現在にかけて、ミトコンドリアDNA及び核DNAマーカーの多様性に変化が生じていないことを明らかにした。本結果についても、論文としてまとめて出版した。 またフジツボのキプリス幼生を視覚的に誘引していると考えられるタテジマフジツボの蛍光タンパク質を、タンパク質の同定のために十分な量を精製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タテジマフジツボの海水溶存性着生誘起フェロモンの濃度依存的な着生誘起活性に関する結果、及びキタアメリカフジツボのDNAマーカーの解析結果について国際誌に出版した。さらに同フェロモンの種特異性に関する実験結果について論文原稿がまとまっている。また、同フェロモンへの応答に対する幼生の日齢の影響についてもデータを取得済みである。フジツボ類を対象とした、温度環境に対する着生機構に関するDNA多型データの解析も概ね完了している。また、着生場所探索に関わっていることが示唆される蛍光タンパク質の精製及び同定も進めており、着生場所探索機構の視覚シグナルに関する分子基盤が解明されると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでに得られたデータの解析及び論文化を進める。また、環境変動によって着生場所の選択性が変化するかどうかを検証するために、新規の実験を実施する。具体的にはフジツボ類及びサンゴ類を対象に、温度や溶存酸素を操作した着生実験を実施し、環境変動によって着生場所の選択性が変化するかどうかを検証する。実験は2023年内に終わらせ、年度内に取りまとめを完了させる。
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