研究課題/領域番号 |
20K15585
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
山田 和正 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 助教 (20778401)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 植物プランクトン / 生活史 / 世代交代 / パルマ藻 / ボリド藻 / セルソーティング / 増殖 / 生存戦略 / 栄養細胞 / 二形態性生活史 / セルソーター / 環境順応 / ピコ藻類 |
研究開始時の研究の概要 |
ピコ藻類(細胞直径が3 μmにも満たない極微小な単細胞藻類)の生活史として,休眠期の報告はあったが,栄養細胞期は単に細胞分裂による増殖を繰り返すと考えられてきた.しかし,ピコ藻類の一種でシリカの殻を持つパルマ藻の生活史中には,殻を持つ細胞以外にも,無殻で鞭毛を持つ細胞や,オルガネラ数が増大した細胞が確認され,それらの一部は増殖能を有することがわかってきた.これは,1種のピコ藻類が環境条件の変化に応じて生活史期を転換し,まるで別生物かのように形態を変化させ増殖し得ることを示唆している.本研究では,パルマ藻の生活史の実態,具体的には,各生活史期の適応環境と遺伝子発現パターンの違いの解明に取り組む.
|
研究成果の概要 |
パルマ藻の一部は,生活史中に二つのステージ,すなわち,シリカの殻を持ち無鞭毛の不動性ステージと,鞭毛を持ち無殻の遊泳性ステージを持つ.本研究では,両ステージの生理学的な違いとステージ転換の仕組みを理解するため,培養株の性状解析を進めた. 葉緑体の自家蛍光強度にステージ間差があることに基づいてセルソーターで両ステージを区別して分取する方法を確立した.株は,遊泳性ステージが出現しない株と,常に遊泳性ステージが存在する株の2つに分けられ,少なくとも本研究に用いた継代培養条件下では,ステージの転換は誘導されないことが示唆された.また,増殖速度の解析から光強度への適応性にステージ間の違いが見出された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
植物プランクトンの多くは栄養世代が1つで,世代交代をするグループは例外と考えられてきた.しかし近年,多様な系統において世代交代の現象が見出されており,それらの生物が世代交代をする意義や仕組みの解明が求められている.本研究で対象としたパルマ藻は,寒冷海域の基礎生産者としての重要性が示されつつある生物である.本生物には不動性と遊泳性の2つのステージの存在が知られていたものの,両ステージの培養株中の動態や生理学的な違いは不明であった.本研究では培養株中の両ステージの出現動態を長期モニタリングすることに成功し,ステージ間の光環境への適応に違いを見出した.
|