研究課題/領域番号 |
20K15602
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
古川 亮平 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 助教 (90458951)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 棘皮動物ヒトデ / 自己・非自己認識 / missing-species認識 / missing-self認識 / 免疫系の発達 / 自己非自己認識 / 個体発生 / 幼生 / 成体 / 変態 / レクチン / 種特異的糖鎖 / 免疫 / 精子 / 免疫システム / 自己認識 / 種特異性認識 / 糖鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
棘皮動物イトマキヒトデの幼生において唯一の免疫細胞である間充織細胞は、生きた同種細胞であれば免疫応答を生じない「missing-species(種の喪失)認識」によって自己と非自己を識別していると予想されている。この認識システムを可能にするには、細胞表面に何らかの種特異的な分子が必要である。本研究では、この種特異的分子の単離・同定を目指し、無脊椎動物がどのように「自己」を認識しているのかという問題に挑む。
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研究成果の概要 |
棘皮動物イトマキヒトデの幼生の免疫細胞である間充織細胞は、同じ種であることを特異的に認識し、認識できないものを異物とみなす、「missing-species(種の喪失)認識」によって生体防御を行っている。本研究は、この認識機構を司る種特異的な分子を探索するものであったが、条件検討の過程で予備データに疑義が生じ、本研究における仮説そのものを再考する必要性に迫られる結果となった。一方、他のアプローチを試行錯誤する過程で、イトマキヒトデの成体型免疫系が稚ヒトデ期に成熟し、同種異個体を非自己とみなす能力を獲得することが明らかになった。この発見は、免疫系の個体発生を考える上で非常に重要な知見である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、研究の進行過程で仮説を支える予備データに疑義が生じたため、目的の達成には至らなかった。一方で、副次的に、稚ヒトデ期に成熟する成体型免疫系が、父親、母親からそれぞれ受け継いだ自己マーカー遺伝子群のうち、少なくとも片方が一致すれば自己とみなすというメカニズムによって、同種異個体を識別していることを示唆することができた。無脊椎動物において免疫系の成熟時期が明らかになっている種はほとんどなく、免疫系の個体発生メカニズムを明らかにするための研究基盤を確立することができた。これにより、成体が有する自己マーカーの探索を通して、幼生が認識する種特異的な分子を探索できる可能性が見出された。
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