研究課題/領域番号 |
20K15627
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 英生 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (40729852)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 植物工場 / 環境ストレス / 紫外線 / 機能性物質 / ファイトケミカル / アカジソ / レモンバーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、葉菜類の機能性成分を短期間で向上可能な紫外線B域(UV-B:280 nm~315 nm)の新たな照射方法を確立することを最終目的とする。具体的には、近年実用化されたUV-B LEDを用いて、慣行のUV-B蛍光ランプの上方照射では実現できなかった中・下層の葉への多方向照射を行い、葉の空間的位置によらず必要なUV-B強度を照射可能な照明システムを開発する。また、上層~下層の葉におけるUV-B強度と機能性成分の生合成速度の関係解明を行い、株全体の機能性成分含有量を短期間で高めることが可能な照明方法を提示する。
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研究実績の概要 |
葉の重なりの指標である葉面積指数(LAI)の大きい群落では、UV-B照射をどの方向から行っても受光できない葉が生じてしまうことが課題としてあった。そこで今年度は、植物の生育段階ごとにUV-B照射を複数回に分散して行う照射方法の検討を行った。分散して照射を行う場合、UV-B照射によって増加した機能性成分が時間の経過と共に減少してしまうことが予想されたが、今回調査した範囲では機能性成分濃度が高く維持されることが確認でき、収穫前のタイミングだけでなく、LAIの増加に応じてUV-Bを照射することで、それぞれの葉層の機能性成分濃度を高く維持できる可能性が示された。しかしながら、未成熟な段階でUV-B照射を受けた葉の成熟後にもう一度UV-B照射を行うと機能性成分濃度が高くならないことも明らかとなった。この理由として、未成熟な葉ではUV-B照射による機能性成分の蓄積量が増えたとしても、葉が大きくなるに従いその効果が薄まってしまうことと、一度UV-B照射を受けた葉では機能性成分の生合成に関わる遺伝子発現が何らかの制御により抑制されてしまうことが考えられた。したがって、照射タイミングを分散する場合は、茎頂付近を避けて成熟葉にだけ照射を行えるようにUV-B照射の配光を調節する必要があると考えられた。加えて、栽培途中の植物にUV-Bを照射すると、照射による葉の萎縮などの生理障害の発生によってその後の成長が抑制され、葉の収穫量が減少してしまうことが課題であったが、栽培に用いる光源の波長やUV-B強度の調節によって、葉の収穫量はUV-B非照射区と遜色のないレベルを維持できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
照射タイミングを分散した場合の課題の抽出と課題解決を行ったことで、より葉面積指数の大きな群落へのUV-B照射の適用可能性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本照射技術の適用範囲を広げていくための課題の抽出と解決手法について引き続き検討を行う。今年度まで得られた成果を学会等で発表する。
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