研究課題/領域番号 |
20K15630
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
村上 貴一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 研究員 (50813903)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 越冬性 / 低温耐性 / phytochrome / コムギ / 光環境 / 光質 / 光受容体 / 光形態形成 / 積雪 / 光環境応答 / 環境調節 / 低温順化 / Phytochrome |
研究開始時の研究の概要 |
植物は光質 (光の波長組成) を感知することで周囲・上層の個体との競合程度を認識し、自身の置かれた環境に適するよう生育を調節する。積雪は特徴的な分光透過特性を有しており、積雪透過光は植物にあたかも自身が環境を独占しているかのように誤認させうる。したがって積雪は越冬性植物の春の振る舞いに影響を及ぼす光質制御資材として機能しうる。本研究では、積雪の分光特性を評価し、雪下光質が秋播きコムギの融雪後初期生育に及ぼす影響を調査し、雪下光質の制御による初期生育調節技術化の可能性を検証する。
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研究成果の概要 |
積雪は地表面で越冬する植物に到達する太陽光スペクトルを変質させることで生理諸反応に影響を及ぼす可能性がある。本研究では積雪の光質制御資材としての特性を調査し、その影響評価と利用可能性を検証することを目的とした。積雪の透過率は可視光で高く遠赤色光で低く、葉とは正反対の特性を示す。15 cm 程度の積雪の下で上昇した赤色光/遠赤色光比は光受容体を介した応答を十分に誘導しうる。コムギを対象とした雪上からの電照処理では、光質が生存率および融雪後生育に及ぼす影響は品種間差よりも小さかった。したがって、積雪は光質制御資材としての特性を有するが、その作物生産性への影響は小さいと推察される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
植物の資源獲得競争という観点から重要な融雪期の積雪下の地表面における光環境の特性を整理し、電照実験によりその光環境が越冬性植物に及ぼす影響を評価した。これらの結果は、気候変動の影響を顕著に受ける積雪地帯での植物の振る舞いに関する基礎的な知見である。また、おもに極域で得られた既存の積雪透過特性が地理状況によっては再現しない可能性を示唆し、生産圏における積雪の光学的特性評価の重要性を示した。
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