研究課題/領域番号 |
20K15632
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
三好 悠太 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主任研究員 (60855724)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ポジトロンイメージング / 11C / 篩管転流 / リアルタイム計測 / 光合成産物 / イチゴ / サップフロー / 転流 / RIイメージング / 師部輸送 / 木部輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
収穫器官への同化産物の転流は、収量や品質を左右する重要な生理的機能である。高収益生産のためには、環境作用を受け時々刻々と変動する転流動態を把握し、これを基盤とした栽培管理を行うことが求められる。そこで本研究では、生育期間中の同化産物の転流動態をリアルタイムに計測可能な新技術の開発を目的とする。具体的には、実験室内で転流速度を直接評価できるポジトロンイメージング技術と、茎径と導管流の変動から茎部の転流速度を推定するFlow and storage modelとを融合する。栽培現場での転流動態のリアルタイムな評価が可能となり、転流に基づく栽培管理法の確立とそれに伴う高収益安定生産の実現に資する。
|
研究実績の概要 |
葉から収穫器官への光合成同化産物の転流は、収量や品質を左右する重要な生理的パラメータであり、高い収益性を確保するためには、周辺環境の変化を受け変動する転流動態を把握し、これを基盤とした栽培管理を行うことが重要である。本研究では、生育期間中の同化産物の転流動態をリアルタイムに計測可能な新技術の開発を目的とする。 2022年度当初は、「リアルタイム転流計測技術」のプロトタイプを作成し、実際のイチゴの生産現場にて開発した計測技術の実証試験を行い有効性について検討する予定であった。実際は、2021年度に構築した実験システムを用い、ポジトロンイメージング装置の撮像視野に、茎径センサおよびサップフローセンサを取り付けたイチゴ果柄を設置し、光合成によって取り込まれた11Cが果柄を師管転流する様子をイメージングすることで、果柄における同化産物の師管転流速度と茎径およびサップフローの実測値を取得した。さらに2020年度に構築したコールドガードリング法を用いて師管転流を変動させつつポジトロンイメージング装置による撮像を繰り返し行うことで、茎径およびサップフローの変動とそれに対応する師管転流速度について評価した。得られたデータの相関を解析し、茎径およびサップフローの変動値から師管転流速度を評価する「リアルタイム転流計測技術」のプロトタイプを作成した。さらに、作成した転流計測技術のプロトタイプを植物育成庫内にて栽培しているイチゴの果柄に設置し、栽培期間を通して本計測技術を使用した際の営農作業等への影響について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
茎径およびサップフローの変動値とそれに対応する篩菅転流速度の実測値の相関を解析し、当初の予定通りリアルタイム転流計測技術のプロトタイプを作成している。一方で、実際のイチゴ栽培現場における実証試験には至っていないため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
リアルタイム転流計測技術の実証試験行う。実際のイチゴ栽培現場へ試作した計測技術を導入し、栽培期間を通して篩菅転流速度をリアルタイムに測定する。同時に、13Cトレーサー法によって1日の茎部の転流量を評価し、最終的な収量や収穫果実の乾物重と併せて篩菅転流速度の評価値と比較することで、「リアルタイム転流計測技術」の有効性を検討する。将来的には、実際の栽培系の中で「リアルタイム転流計測技術」を用いて転流動態を高精度に評価するシステムを確立する。高収益安定生産の実現に向けた具体的な応用技術の確立を目指す。
|