研究課題/領域番号 |
20K15637
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
城 惣吉 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (20721898)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | サツマイモ / 根粒菌 / つる割病 / 病原抵抗性 / 防除技術 / 病害抵抗性 / 防御技術 / 生産性向上 |
研究開始時の研究の概要 |
根粒菌はマメ科植物と共生窒素固定を行うことが知られているが、その根粒菌をサツマイモに接種することでサツマイモつる割病に対する抵抗性が高まるという現象を発見した。根粒菌接種によるサツマイモつる割病の発生抑制メカニズムを明らかにできれば、サツマイモ栽培を中心とした農作物生産における農薬や肥料の使用による環境負荷を低減した安心安全な生産技術の開発につながる。 そこで、本研究では、根粒菌を接種したサツマイモにおけるサツマイモつる割病に対する抵抗性誘導メカニズムの解明やサツマイモの病害抵抗性を誘導する根粒菌由来因子の探索を行い、根粒菌を利用したサツマイモつる割病に対する新規防除技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、根粒菌を接種したサツマイモにおけるサツマイモつる割病に対する抵抗性誘導メカニズムを解明し、得られた知見から環境負荷を低減した生産技術の確立に貢献することを目的としており、令和5年度は以下の研究を実施した。 1)サツマイモの病原抵抗性関連遺伝子の発現を高める菌株の選抜:供試品種にサツマイモ4品種(べにはるか、ベニアズマ、沖縄100号、オキコガネ)を用い、供試菌株には島根県内の土壌から分離した根粒菌3菌株を用いた。サツマイモ苗に各菌株を接種し、サツマイモの病害抵抗性関連遺伝子(PAL、NPR1、PR1、LOX、PDF1.2)をターゲットにリアルタイムPCRを用いて発現レベルを解析した。その結果、病原抵抗性関連遺伝子の発現が全体的に良好であった1菌株を選抜した。 2)栽培温度がサツマイモつる割病の発病抑制効果に及ぼす影響:露地およびビニルハウス内の異なる栽培温度環境下で根粒菌およびつる割病菌を接種したサツマイモ3品種(べにはるか、ベニアズマ、シルクスイート)を約8週間栽培し、つる割病の罹患率や生育状況を調査した。その結果、主茎長や茎径、地上部乾物重において栽培環境や品種による有意差が認められたが、根粒菌接種よる有意差は認められなかった。罹患率については、品種間で程度の違いを観察できたものの、明確な接種効果を確認できなかった。また、気温の上昇で病状の進行が速くなる傾向を示した。 3)サツマイモの病原抵抗性関連遺伝子の発現解析:サツマイモ3品種(べにはるか、ベニアズマ、シルクスイート)に根粒菌2種を接種した際の病原抵抗性関連遺伝子の発現レベルを解析した。その結果、根粒菌無接種区(対照区)を1としたときの相対発現レベルは、根粒菌の接種により高いレベルで発現することが示され、さらに、サツマイモの品種によって接種する根粒菌が異なると、その発現応答が異なる傾向を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サツマイモの病原抵抗性関連遺伝子の発現解析で、より遺伝子の発現を高める菌株を選抜できたり、予想した結果を得ることができたこともあり、今年度計画していた研究の大部分を進めることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
サツマイモつる割病の明確な抑制効果を確認することができなかったが、抵抗性が強いとされているべにはるかの遺伝子発現は他の品種と比較して高い傾向にあったことから、抵抗性と遺伝子発現は何らかの関連性があることが示唆された。今後は、病害抵抗性関連遺伝子の発現レベルと実際の病害抵抗性の関連性についてさらなる検証を行うとともに、根粒菌接種による接種効果をより得られる条件や方法を検討したいと考えている。
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