研究課題/領域番号 |
20K15641
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小坂井 千夏 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (90637670)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 鳥獣害 / 特定外来生物 / アライグマ / 環境DNA / 食痕 / 加害種 / 迅速判定 / 加害種判別 / 外来種 / 収穫残差 |
研究開始時の研究の概要 |
アライグマ等の特定外来生物は生息や被害を早期に発見することが、農作物被害の防止のみならず、生物多様性保全や人獣共通感染症リスクを下げるために重要である。農作物や収穫残差(廃果)に残る「食痕」からは、外来種を含めた加害種を効率的かつ早期に判別できる可能性があるが、食痕形状と加害種との関係は科学的に検証されていない。これは野外で加害シーンの確認が困難であることが一因である。本研究では農地環境中のDNA、すなわち樹上や廃果場に残った果実の食痕から加害種のDNAを採取することでこの課題を解決し、食痕形状や食痕から採取したDNAを用いたアライグマ判別手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
鳥獣害対策では、加害する動物種を正しく判別し、種に応じた効果的な対策を実施する必要がある。特にアライグマ等の特定外来生物では、生息や被害の発生を早期に発見することが、生物多様性保全や人獣共通感染症リスクを下げる観点からも非常に重要である。そこで本研究では農作物等に残った動物のDNAから加害種を早期に正しく判別する手法の確立を目指している。3年目の2022年度は、以下について明らかにできた。 定量PCR法について、アライグマの種特異プライマー・プローブを用いた検証を行った。飼育アライグマが短時間のみ使用した水からでも比較的長期(最大37日間)にわたって、アライグマDNAが検出できることが分かった。環境DNAによる生物種の在不在の確認手法として広く利用されている定量PCR法が、陸生哺乳類のアライグマでも十分に適用可能であること、飼育下での結果ではあるが、利用後長期にわたりDNAが検出できる可能性があることが示唆された。 なお、鳥獣害の対策現場や関連機関では、DNAの分析機器や実験室は必ずしも充実していない。また、被害発生後できるだけ速やかに対策を行うことが重要である。そこで、定量PCR法よりも簡易に判別ができるLAMP法について、アライグマの種特異LAMPプライマーを設計した。飼育下での実験から、アライグマが利用した水と食べた果実の食痕の両方でLAMP法でアライグマDNAの増幅に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は年度の大半の期間で産前産後・育児休業を取得したため、当初実施予定であった農地での野外調査は進められなかった。しかし、申請当初の計画より簡易かつ迅速に種判別ができるLAMP法でのアライグマDNA検出技術の基盤は確立できつつあり、研究期間を延長した残り1年間で、本研究の目的である「アライグマの早期発見技術の確立」は十分に達成できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
飼育下実験によるアライグマDNA検出技術の精緻化を行い、実際の農地でのサンプリングを行うことで技術の確立を目指す。
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