研究課題/領域番号 |
20K15654
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
青島 圭佑 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (90745069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 血管肉腫 / エピジェネティクス / ヒストン脱メチル化 / イヌ / マウス / KDM2B / ヒストンメチル化 / ヒストンユビキチン化 / マウスモデル / 治療 |
研究開始時の研究の概要 |
血管肉腫はイヌに好発する血管内皮細胞由来の悪性腫瘍である。申請者はこれまでに,ヒストン脱メチル化酵素KDM2Bが血管肉腫細胞の増殖・生存に必須であることを明らかにした。本研究では(1)KDM2Bが制御するメカニズムの詳細を明らかにすること,(2)KDM2Bの過剰発現によりマウス血管内皮細胞をがん化させ,マウス血管肉腫モデルを作製することを目的とする。本研究により,血管肉腫におけるエピジェネティクスの役割を初めて明らかにすることができる。また,免疫能を有したマウス血管肉腫モデルは完全な微小環境での血管肉腫の病態メカニズムを解析することを可能とし,新規治療法開発への基盤となる。
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研究成果の概要 |
本研究を通して血管肉腫においてヒストン脱メチル化酵素KDM2BがDNA修復機構の働きを活性化し,これにより腫瘍細胞がアポトーシスを回避していること,そしてこの機構はヒストンユビキチン化 (H2AK119ub1) を介して機能していることが明らかとなった。また,腫瘍移植マウスモデルにおいて腫瘍形成後にKDM2Bノックダウンまたはヒストン脱メチル化酵素阻害剤GSK-J4の投与を行うと,腫瘍の増殖が抑制されることが明らかになった。 さらにマウス血管肉腫細胞 ISOS-1 由来腫瘍はイヌ血管肉腫と類似の特徴を有しており,KDM2B がイヌ血管肉腫細胞と同様のメカニズムで機能していることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により KDM2B が血管肉腫の治療標的となり得ることを示し,ヒストン脱メチル化阻害剤である GSK-J4 がマウスモデルにおいて副作用なく移植細胞由来の血管肉腫の増殖を抑制できることを明らかにした。しかしながら KDM2B特異的な阻害剤が存在しないこと,そして GSK-J4 は腫瘍を退縮させらなかったことから,臨床応用へはさらなる検討が必要である。本研究ではこのほかにマウス血管肉腫細胞 ISOS-1 がイヌ血管肉腫のモデルとなり得る可能性を示し,正常免疫能を有するマウスモデルにおける血管肉腫研究が可能であることを明らかにした。
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