研究課題/領域番号 |
20K15656
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 (2021-2022) 帯広畜産大学 (2020) |
研究代表者 |
白水 貴大 藤田医科大学, 病態モデル先端医学研究センター, 助教 (80804608)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ネッタイシマカ / 犬糸状虫 / ゲノム編集 / ベクターコントロール / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでのネッタイシマカにおける犬糸状虫感染表現型スクリーニング解析により、犬糸状虫高媒介性株および非媒介性株の同定に成功した。さらに、RNA-seq解析データをもとにしたRNAiスクリーニングにより、犬糸状虫寄生阻害因子として自然免疫分子LRIM18を同定した。本研究では、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集により作製したLRIM18ノックアウト蚊において犬糸状虫感染表現型解析を行うことで、LRIM18の抗犬糸状虫作用メカニズムの解明を目指す。本研究によって得られた成果により、病原体を媒介しない蚊による犬糸状虫制御法の確立が期待される。
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研究成果の概要 |
本研究では、RNAiスクリーニング解析で選定された自然免疫分子LRIM18についてCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集によりノックアウト(KO)した蚊を作製し、犬糸状虫感染表現型解析を行うことで、蚊の宿主応答におけるLRIM18の機能を解明することを目的とした。KOホモ型と野生型間で比較した結果、犬糸状虫感受性系統ではKOにより感染11、13日後の頭胸部における感染期幼虫数が減少し、腹部における未発達な幼虫数が増加する傾向がみられた。RNA-seq解析の結果、KOマルピーギ管では免疫系遺伝子の発現増加がみられた。したがって、蚊のLRIM18のKOは犬糸状虫媒介能を抑制することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
蚊媒介性感染症であるフィラリア症は「顧みられない熱帯病」の一つで、開発途上国を中心に蔓延しており、世界の感染者数は約5000万人以上とされる。また、犬のフィラリア(犬糸状虫)症は致死に至ることもあり、獣医学領域においても対策が必要な感染症である。致死性の高いマラリア、デング熱などと比べて、開発途上国やペットで問題となるフィラリア症に関する研究進展状況は芳しくない。犬糸状虫とネッタイシマカをフィラリア感染モデルとした本研究で、LRIM18のKOにより蚊の犬糸状虫媒介能が抑制されることが示唆された。本研究成果は、フィラリアを媒介しない蚊の作出による感染症制御に向けた学術基盤になることが期待される。
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