研究課題/領域番号 |
20K15663
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 (2022) 岐阜大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
西山 祥子 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (90817058)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ロタウイルス / 次世代シークエンスを用いた網羅的解析 / Torque teno virus / ダニ媒介性脳炎ウイルス / 種間伝播 / 野生動物 / 家畜 / 家畜衛生 / 疫学 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、日本では野生動物由来感染症の農場汚染が大きな社会問題となっている。そのため、農場への病原体侵入のリスク評価が重要であり、このための指標が必要とされる。この指標因子として、ロタウイルスを提案したい。ロタウイルスは宿主域が広く、自然界に広く蔓延している。多くの種間伝播の報告もある。このため、家畜、野生動物由来ロタウイルスの遺伝子を時系列的に解析することにより、家畜と接触した野生動物の特定、家畜と野生動物でのウイルス伝播の方向性を推定することが可能となる。本研究では野生動物と家畜のロタウイルス遺伝子を基に種間伝播の動態を網羅的に解析し、農場の防疫強化に向けた新規知見を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
ロタウイルスは11本の分節型遺伝子を持つ2本鎖RNAウイルスである。本研究では野生動物と家畜に感染するロタウイルスの遺伝子を解析し、その遺伝子の変化を観察することで、家畜が野生動物由来感染症に感染するリスクを評価する。今年度はロタウイルスの全ゲノム解析を効率よく行う手法を確立することとした。昨年度、ロタウイルスの感染が認められたイヌとハクビシンの糞便の上清から総RNAを抽出し、糞便に含まれる核酸をランダムプライマーにて増幅した。その後、次世代シークエンスにて全遺伝子解析を行った。現在、糞便中の遺伝子プールの中からロタウイルス遺伝子を抽出して解析中である。 さらに2頭のタヌキと2頭のキツネの糞便サンプルからTorque teno virus(TTV)を4株検出し、その全遺伝子を解析した。その結果、3種類の新規TTVを検出した。また犬科動物に感染するTTVは3つのクラスターに分かれていることを明らかにした。現在、この結果を論文にて発表する準備中である。 また、同様に野生動物における感染症流行を予測ため、北海道内で発生が認められているダニ媒介性脳炎ウイルス(TBE)の本州での流行状況をストレプタグELISAにより解析を行った。その結果、31%(16/52頭)のシカ、50%(1/2頭)のイノシシ、40%(2/5頭)のアナグマで血清学にTBE陽性となった。現在、中和試験にて確定診断を行う予定である。 このように、複数の野生動物由来感染症のリスク調査を行った。今後は、これら感染症の確定診断と家畜への感染リスクについて考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予想よりロタウイルスの検出率が低かった。また糞便内の遺伝子をランダム増幅するキットの販売が中止された。そのため、その代替品となるキットと複数選び、その有用性を検討した。このキットは糞便由来のサンプルを次世代シークエンスにかける際に必要である。 また、研究者の所属が変更したためセットアップに時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
野生動物の糞便を追加で採取し、ロタウイルスの検出を試みる。さらに次世代シークエンスを用いて網羅的に糞便内の遺伝子解析を行う手法を確立させ、ロタウイルスの遺伝子情報の蓄積を目指す。また野生動物内で流行している他の感染症についても引き続き解析を行う予定である。また野生動物に付着しているマダニを採取し、マダニ媒介感染症も同時に解析する予定である。
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