研究課題/領域番号 |
20K15670
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
長澤 裕哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (20759352)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 牛 / 乳房炎 / 黄色ブドウ球菌 / バイオフィルム |
研究開始時の研究の概要 |
牛の乳房炎は酪農生産に対して甚大な経済的被害をもたらす重大な疾病であり、新たな防除法の開発が求められている。本研究では疾病の慢性および難治性に関与するバイオフィルムに着目し、黄色ブドウ球菌による牛の乳房内バイオフィルム形成機序の解明とそれに関わる分子の同定を目的とする。本研究による成果は黄色ブドウ球菌性乳房炎の病態に関する学術的基盤を確立し、将来的に牛乳房炎に対するワクチンなど新たな防除法の開発につなげる。
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研究成果の概要 |
本研究ではバイオフィルム形成と疾病の慢性化および難治性への関与に着目し、黄色ブドウ球菌(SA)による牛の乳房内バイオフィルムに関わる分子の同定とその形成機序の解明を目的として研究を行った。SAを乳房内実験感染させた牛の乳汁から単離したSAは感染後3週間からバイオフィルム形成能に変化があらわれ、それらのSAはAgrAおよびSigBの遺伝子に変異がみられた。これら派生株は元株と比較して、タンパク質発現や病原性などにも変化がみられた。以上より、SAは牛の乳房内感染が持続するうちに、バイオフィルム形成能が変異する現象が起こることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
SA性乳房炎に対するバイオフィルムの研究は、病態とどのような関連性があるかなどのin vivoにおける基礎的な知見が不足しているのが現状である。本研究では、SAは牛の乳房内感染が持続するうちに、AgrAやSigBの遺伝子に変異が起き、バイオフィルム形成能などが変異する現象が起こることが示された。こうした変異が黄色ブドウ球菌性乳房炎の難治性・慢性感染の一因である可能性があり、このような変異を示す分子が牛乳房炎に対しての診断・治療法としての新たな標的分子あるいは防除法としての新規のワクチン抗原などに有用であることが示唆された。
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