研究課題/領域番号 |
20K15697
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (2022) 国立研究開発法人理化学研究所 (2020-2021) |
研究代表者 |
伊丹 暢彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究員 (20849616)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 受精卵 / 卵子 / ヒストン / アルギニン / 胚 / メチル化 / アルギニンメチル化 / ヒストン修飾 / ゲノム再プログラム化 / 全能性 |
研究開始時の研究の概要 |
全能性とは個体を全て形成することのできる受精卵特有の能力である。分化した細胞である卵と精子のゲノムは、受精時のゲノム再プログラム化により全能性を獲得する。このゲノム再プログラム化は、ヒストン修飾やDNAメチル化レベルにおけるエピジェネティクス変化とそれを制御するメカニズムにより成立すると考えられるが、その全容は未だ解明されていない。本研究では、ヒストンアルギニンメチル化とゲノム再プログラム化の関連性の解明を目指す。本研究の完成により受精卵が全能性を獲得する機構の一端が明らかになり、多能性幹細胞の作出効率向上や、ヒト受精障害における効果的な治療法の開発に寄与することが期待される。
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研究成果の概要 |
受精後のマウス雄性ゲノムの再プログラム化には、卵内のヒストンH3R17がジメチル化されている(H3R17me2a)ことが重要である。本研究では卵や受精卵、さらに胚性幹細胞や線維芽細胞において、H3R17me2aは細胞分裂間期のゲノムには存在するものの、分裂期のゲノムからは消失することを発見した。脱メチル化阻害剤を用いた実験により、マウス卵の細胞分裂期と間期の間でH3R17me2aの動態が変化し、これが胚発生にも影響を及ぼしていることを見出した。また、ウシを用いた研究では、ヒストン取り込み等のイベントを伴う受精卵の前核形成に、特定のアミノ酸が影響を及ぼしていることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は受精卵のゲノム再プログラム化機構の一端を明らかにするものであり、受精卵の全能性獲得機構の解明や効率的な幹細胞の作成等に寄与する。さらにウシを用いた研究で、受精後の前核形成や発生速度を制御できる因子を発見できたことは、高受胎性が担保された受精卵の増産につながるため、畜産現場への受精卵移植の普及に大きく貢献できる。
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