研究課題/領域番号 |
20K15707
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
上村 悟氏 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主任研究員 (90769522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 核移植 / ゲノム初期化 / 全ゲノムシークエンス / ゲノム変異 / 全ゲノムシーケンス / 点突然変異 / 初期化 |
研究開始時の研究の概要 |
核移植クローンは体細胞を提供したドナーと同じ遺伝情報を持つ胚および個体を作出できる唯一の発生工学技術であるが、その効率は未だ低い。マウス核移植初期胚では異常染色体分離が、マウス核移植由来ES細胞 (ntES細胞)ではゲノム点突然変異や1-20塩基程度の挿入または欠損(InDels)が起こることが報告されている。核移植初期化過程ではエピジェネティクス 調節異常のみならず、ゲノム変異も伴い、これが低効率の原因の一つである可能性が高いが、その原因については明らかでない。そこで本研究では、核移植初期化過程におけるゲノム変異の原因解明を目指し研究を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、核移植初期化過程におけるゲノム変異の原因の一端の解明を目指し研究を行った。核移植ES細胞を対象に、マイクロサテライトと呼ばれる1から数塩基程度の反復配列領域を対象に、全ゲノム解析を実施したところ、ES細胞に比べて、約6倍変異が多いことが明らかとなった。p53は、細胞にDNA損傷が生じるとDNA修復経路を活性化させ、修復が不可能な場合には細胞増殖停止やアポトーシスを誘導するなどの役割を果たす。p53 KOマウスをドナーとした核移植、およびp53阻害剤であるPifithrin-αを核移植胚で処理したころ、p53を阻害すると核移植効率が上昇することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、体細胞核移植クローンの低効率、異常な表現型は主にエピジェネティクスに注目して研 究が行われてきた。しかし先行研究でゲノム DNA 変異も伴うことを示唆してきものの、積極的な研究が展開されていない。本研究課題は、核移植初期化におけるゲノム変異の原因の一端が明らかになる可能性がある。本研究課題で明らかになった知見を基に、核移植効率の向上やゲノム変異の少ないクローニングが期待でき、高品質の ntES 細胞の樹立、さらに高品質な iPS 細胞を高効率に樹立す る方法にも応用できる可能性があり、再生医療、産業、実験動物分野の発展に寄与できるか もしれない。
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