研究課題/領域番号 |
20K15719
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
尾上 耕一 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70796523)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 翻訳 / ポリA鎖 / ナノポアシークエンサー / directRNA sequencing / TOP mRNA / direct RNA-seq |
研究開始時の研究の概要 |
mRNAの翻訳活性と、3'末端ポリA鎖の長さには正の相関があると古くから考えられてきた。しかし、近年の次世代シークエンサーを用いた研究では、そのような相関性について否定的な結果が発表され、議論を呼んでいる。このような報告は、これまでの遺伝子発現調節機構の解釈の根幹を揺るがすものであるにも関わらず、用いられた方法のもつ問題点から、正確性と信頼性には疑念が残る。本研究では、先行研究の手法上の問題点を克服したアプローチとして、ナノポアシークエンサーを用いたdirect RNA-seqを応用した解析に着手し、ポリA鎖長とmRNAの翻訳活性の相関に関する議論に最終的な結論を与えることを目的とする。
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研究成果の概要 |
mRNAのポリA鎖の長さと翻訳活性は正に相関すると考えられてきた。一方で近年、その相関性は発生の初期段階に限定され、その他では消失することが報告され、議論を呼んでいる。本研究では、その議論に新しい見解を与えることを目的にdirect RNA-seqとポリソーム分画を併用したポリA鎖長-翻訳の相関解析を行った。本研究では、明確に正の相関を示す335遺伝子を同定でき、それらの大多数はリボソームおよびミトコンドリア機能と関連する遺伝子であることを明らかにした。さらに、5'TOP配列が大多数のmRNAにおける相関性を説明づける配列であり、RNA結合タンパク質LARP1の関与が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
遺伝子発現の転写後における調節は、しばしばポリA鎖の分解や伸長を介してなされる。それらの分子メカニズムを理解するにあたって、ポリA鎖の長さと翻訳活性との相関関係の有無は最も根幹的な問いであり、慎重な検討が必要である。本研究では、相関関係の存在に否定的な最近の研究結果に概ね一致する見解が得られたが、その一方で、例外的に強い相関性を示す遺伝子群を複数同定することに成功した。本研究の結果、翻訳におけるポリA鎖の役割について、新たな問いを投げかける重要な知見が得られた。
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