研究課題/領域番号 |
20K15721
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
上原 了 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍制御学分野, 研究員 (70842590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RNase H2 / R-loop / 自己免疫疾患 / ゲノム不安定性 / RNase H / アーキア / 自己免疫応答 / 転写 |
研究開始時の研究の概要 |
R-loopは転写されたRNAが二本鎖DNAに侵入して形成する三本鎖構造で、ゲノム上に普遍的に存在し、遺伝子発現の制御を担っている。一方、蓄積することでゲノム不安定性を増大させ、自己免疫疾患やがんの原因となる。このような二面性を持つR-loopの代謝制御の破綻による疾患の発症機構は十分に解明されていない。本研究ではR-loop構造を分解する酵素RNase H2の活性を変異によって制御し、R-loopの蓄積量・ゲノム上の局在変化がDNA損傷や遺伝子発現、自己免疫応答に与える影響を調査し、R-loopが起こすゲノム不安定性の全貌解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、生体内で形成されるRNA/DNAハイブリッド(ヘテロ二本鎖)を含む構造であるR-loopをRNase H2が分解することの生理的意義を解明することを目的とし、R-loop分解活性を失った変異体を発現するHEK293細胞をCRISPR-Cas9を用いて作製し、その表現型を解析した。また、RNase H2がRNA/DNAハイブリッドを認識する詳細な分子機構を解明するため、超好熱性アーキア由来のRNase H2の活性を阻害する人工タンパク質を作製し、阻害複合体の立体構造をX線結晶構造解析によって決定することに成功し、活性に重要なループ構造を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
RNase H2は原核生物からヒトに至るまでほぼ全ての生物に存在するが、R-loopを分解する活性はアーキアと真核生物のみが獲得しており、詳細な分子機構や生理的意義が明らかではない。本研究では、アーキア由来の酵素と人工阻害タンパク質の複合体の立体構造からそのメカニズムに迫った。また、RNase H2のサブユニットへの変異は神経変性疾患エカルディ・グティエール症候群(AGS)の原因であるため、R-loopの蓄積に伴う生体応答はAGS発症メカニズムに深く関与することが予想される。RNase H2のR-loop分解機構の解明は、学術・医療の両面において意義深い。
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