研究課題/領域番号 |
20K15730
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
張 志寛 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (60866937)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 自然免疫 / NOD2 / クライオ電顕 / NLR / NOD-like receptor / クライオ電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症性腸疾患 (IBD) は小腸や大腸の組織細胞が患者自身の免疫細胞に攻撃され、腸の粘膜に炎症反応が引き起こされる自己免疫疾患であり、世界的に年々増加する傾向を示している。日本においては、多くの炎症性腸疾患は指定難病とされている。 多数のIBD患者においてNOD2遺伝子に変異を有することが見つかり、NOD2の機能不全はIBDの原因として同定されている。しかし、NOD2の活性化機構およびNOD2の機能不全によるIBDの発症機構の分子基盤は解明されていない。本課題では、脂質膜に制御されるNOD2の構造生物学的研究を実施し、NOD2の活性化機構およびその機能破綻によるIBDの発症機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
炎症性腸疾患の病因タンパク質と言われているNOD2の活性化機構および活性制御機構は解明されておらず、炎症性腸疾患の発症の分子機構の理解およびNOD2を標的とする治療方法の開発が困難とされている。本研究ではNOD2の活性化機構の解明を目指していた。独自のPEG修飾法により、性質不安定なNOD2タンパク質を安定化させ、クライオ電顕による高分解能でのNOD2の構造解析を可能にした (Structure, 2021)。またNOD2と酸性脂質膜および新規リガンドのヘパリンとの相互作用を見出し、NOD2の活性化に必要である可能性が示唆されている。今後はこれらの相互作用相手との複合体構造解析を実施する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
炎症性腸疾患 (IBD) は指定難病の一種であり、世界中の患者数が年々増加傾向である。IBDの病因タンパク質NOD2の活性化機能の解明はIBDの分子機構の解明に繋がり、有効な治療方法の開発に重要である。本研究で開発されたPEGylation分子修飾法のクライオ電子顕微鏡への適応はNOD2を始め、様々なタンパク質の高分解能クライオ電顕解析を可能とさせる新たなサンプル調製法を提供している。また、本研究で同定したNOD2の新規相互作用分子 (酸性脂質およびヘパリン) は、NOD2の活性制御機構の解明に向ける重要な知見を提供した。
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