研究課題/領域番号 |
20K15749
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木下 実紀 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教(常勤) (30790985)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 細菌 / 蛋白質 / 電子顕微鏡 / 感染症 / 遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
バクテリアの運動器官であるべん毛を構築するために必要な蛋白質輸送装置は5種類の膜蛋白質FlhA, FlhB, FliP, FliQ, FliRからなる輸送ゲート複合体と、3種類の可溶性蛋白質FliH, FliI, FliJからなるATPaseリング複合体から構成される。べん毛蛋白質輸送装置はATPと細胞膜内外に形成される水素イオンの電気化学ポテンシャル差をエネルギーに利用してべん毛構成蛋白質を細胞外へ送り出す。しかしながら、その分子メカニズムについては未だ不明である。本研究では、エネルギー共役の本質的な部分を担うFlhAとFlhBの機能と構造を原子レベルで解明すること目指す。
|
研究成果の概要 |
バクテリアの運動器官であるべん毛の根元には、べん毛の部品を細胞外へ送り出す独自の輸送装置が存在する。この輸送装置はプロトン駆動型の輸送エンジンを搭載した輸送ゲート複合体とATPの化学エネルギーを使って働くATPase複合体から構成される。輸送ゲートは、プロトンの内向きの流れに共役してべん毛構成蛋白質を輸送チャネルへ送り出すが、そのエネルギー共役の仕組みは不明であった。本研究では、輸送ゲート蛋白質FlhAとFlhBがATPaseリング複合体とダイナミックに相互作用することにより、輸送チャネルやプロトンチャネルの開閉が制御されることを見出した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
サルモネラなどの病原細菌による感染症は社会問題の一つで、それらの感染機構の解明ならびに克服のための方法の探索が続けられている。べん毛タンパク質輸送装置と高い相同性を示すIII型分泌装置が急性胃腸炎の発症に深く関わっている。本研究成果に基づいて病原細菌のIII型分泌装置のゲート開閉機構を特異的に不活性化できれば、病原細菌の病原性のみを破壊できる。したがって、従来の抗菌剤のように細菌を死滅させることがないため耐性菌が発生しづらく、これまでにない新しい治療法の開発につながる。
|