研究課題/領域番号 |
20K15757
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 大智 京都大学, 工学研究科, 助教 (40746616)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ユビキチン / 構造ゆらぎ / ATP / 環状 / NMR / 非定型鎖 / ユビキチン鎖 / 非定型ユビキチン鎖 / 遊離ユビキチン鎖 / タンパク質物性 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質の翻訳後修飾のひとつであるユビキチン修飾の特徴は、基質となる細胞内タンパク質にユビキチンが数珠状に幾つも連なり、鎖を形成することである。一方、細胞内には基質に結合していない遊離ユビキチン鎖も存在し、形態も直鎖状だけでなく分岐や環状といった非定型のユビキチン鎖がある。では、遊離で非定型のユビキチン鎖はどのような細胞内機能を持つのだろうか。本研究では、試験管内で調製した遊離鎖を細胞に直接導入することで、細胞内機能を解明することを目的とする。遊離鎖は凝集や免疫応答への関与が指摘されているため、これらに関わる物性および相互作用を試験管内で特定し、細胞内でどのように機能発現するのか調べる。
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研究成果の概要 |
ユビキチン鎖は基質に結合し様々な生命現象に関わる。最近、分岐や環状などの非定型かつ遊離のユビキチン鎖が発見された。しかし、その物性や機能はよくわかっていない。本研究は遊離非定型ユビキチン鎖をより深く理解するため溶液NMR法による構造解析をおこなった。その結果、ユビキチン鎖はユビキチンユニット間で異なる構造ゆらぎを示し、翻訳後修飾の受けやすさが異なることがわかった。さらに、細胞内に大量に存在するATPとユビキチンは弱く相互作用し、細胞内でユビキチン鎖は自己会合や凝集しにくくなることが示唆された。また、環状ユビキチン鎖は非環状型と異なる認識機構を示し、切断されにくくなることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでのユビキチン鎖研究は単一の結合型で形成された直鎖状の短いユビキチン鎖が中心であった。だが現在、続々と非定型のユビキチン鎖が発見されており、ユビキチン鎖研究でパラダイムシフトが起こっている状況にある。本研究で明らかにしたユビキチン鎖におけるユニット間の異なる構造ゆらぎ、ATPとの弱い相互作用、環状鎖の特異的な認識機構はいずれも既存のユビキチンバイオロジーでは想定できなかった知見であり、新規の概念を与えるものとなった。また、タンパク質科学の観点から、これまでの静的な構造解析とは一線を画し、タンパク質機能を明らかにする上での動的構造解析の重要性を示した研究結果となった。
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