研究課題/領域番号 |
20K15762
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
新谷 正嶺 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (40650536)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 収縮リズム恒常性 / サルコメアカオス / 心臓の生理学 / AIL: AI to learn / ラマン分光推定法 / リアルタイムラマン分光計測 / 電子顕微鏡ライブイメージング / DET膜法 / 深層学習型シンボリック回帰 / 概位相同期カオス振動子 / 熱筋節振動 / 筋節内ミオシン動態 / UMAP / ラマン分光計測 / 生理的環境下のミオシン状態計測 / 加圧処理筋原線維 / 生理的分子計測 / 心筋細胞 / ラマン分光 / サルコメア計測 / 筋収縮振動 / 追跡積算式ラマン分光法 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、非生理的環境下に取り出したミオシン1分子の動きを計測し、その結果をサルコメア1節の動きにスケールアップして議論をすることが増加している。しかしこれらの議論は、標識付与の影響や生理的なアクトミオシンの構造・挙動特性を考慮しないという難点がある。 本研究では、直接計測の難しいサルコメア内のミオシン状態を、生理的環境下のまま計測するために、ラマン分光法を用いた新たな計測方法を確立することを目的とする。サルコメア内のミオシンを、直接ラマン分光計測すると同時にサルコメアの動きも測定することで、ミオシンの状態を推定する。 本計測方法により検証が困難であったミオシン動態を実測推定できると期待される。
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研究成果の概要 |
生理的環境下のサルコメア内ミオシン動態を計測するためのラマン分光法を用いた新たな方法を提案した。当初の想定を超えた成果として、心筋細胞内のサルコメアは、体温の熱を利用して、カオス的不安定性と恒常性的安定性を併せ持った収縮リズムを生み出していることを発見した。これは、単離ミオシンの性質を調べるだけでなく、生理的環境下のままサルコメア内で振る舞うミオシン等生体分子の挙動とその効果を示すことの重要性を示す象徴的成果である。この発見を支援するために見出したAIL(AI to learn;学習や研究の裏方に徹した支援ツールとしてAIを活用する)というAI活用指針も今後より重要になっていくと確信している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
心筋細胞内のサルコメアダイナミクスが、ミオシン分子等の1分子計測で確認されているnm スケールの確率的な不安定性だけでなく、μmスケールのカオス的不安定性も生み出して活用し、巧妙なダイナミクスを実現しているという実験事実を捉えられたことの学術的意義は極めて高い。取り出したタンパク質分子1分子や少数分子の実験系の計測だけではとらえられない、安定性と不安定性を併せ持ったリズムの巧妙さが階層的に創発されていることを心筋細胞の具体的実験事実として捉えることに成功した。概要記載のAILというAI活用指針および、発明した、液中の動く試料の電子顕微鏡ライブイメージング法も進歩性の高い成果と確信している。
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