研究課題
若手研究
内在性レトロウイルス (endogenous retrovirus; ERV) は自身の配列中に転写調節エレメントを含んでおり、近傍の遺伝子の発現に様々な影響を与える。申請者らは、公的データベースに蓄積したマルチオミクスデータの大規模な再解析から、多数のERVが神経・生殖系の細胞においてエンハンサーとして働いていることを明らかにし、さらにはこれらのERVが近傍に存在する遺伝子の発現を制御することで、上述の細胞の機能・分化に重要な役割を果たしている可能性を見出した。本研究課題の目的は、「ERVの駆動する遺伝子発現ネットワーク」の神経・生殖系細胞における生理機能を明らかにすることである。
生殖細胞の発生を司る遺伝子発現制御ネットワークは、哺乳類の進化過程において著しく多様化しており、進化の過程でfine-tuningされてきたことが示唆 される。本研究では、類人猿特異的なERVの一種であるLTR5_Hsが、始原生殖細胞における遺伝子発現制御ネットワークを改変した可能性を示した。LTR5_Hsは、iPS 細胞から樹立したヒトの始原生殖細胞においてエンハンサーとして活性化していた。さらに、種間比較トランスクリプトーム解析により、LTR5_Hsの挿入が、類人猿特異的なエンハンサーを創出することで始原生殖細胞における遺伝子発現制御ネットワークを改変した可能性が高いことが明らかとなった。
生物の形質の進化は、遺伝子配列における変異だけでなく、遺伝子発現制御配列における変異により引き起こされることが知られている。本研究では、配列中に様々な転写調節エレメントを有し、遺伝子のプロモーターやエンハンサーとして働く内在性レトロウイルス(ERV)が、類人猿の進化過程においてゲノムの中で大量に増殖したことで、生殖細胞で働く遺伝子制御ネットワークが大きく書き換えられた可能性を示した。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 11件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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