研究課題/領域番号 |
20K15772
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大屋 恵梨子 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (60847721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ヘテロクロマチン / 遺伝子 / 発現制御 / エピジェネティクス / 分裂酵母 / 高次クロマチン / ヒストンH3K14ユビキチン化修飾 / 脱ユビキチン化酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
基本的に同じDNA情報を持つ約270種類のヒトの細胞では、各細胞での固有の性質を持つ様、染色体の後天的な化学修飾による制御により、DNA配列の変化を伴わずに遺伝子の発現を調節している。この発現調節に異常が生じると、個体の発生異常や、がん・生活習慣病などの疾患を引き起こす。本研究では、この制御機構のうち、遺伝子の発現をOFFにするメカニズムに着目し、申請者が近年見出した新規化学修飾の詳細な制御メカニズムを解明する事を目的とする。本研究により、新規の修飾を中心とした遺伝子をOFFにする機構の詳細が解明され、がんなどの様々な疾患の理解や治療法の開発、および再生医療への応用が期待される。
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研究実績の概要 |
基本的に同じDNA情報を持つ約270種類のヒトの細胞では、各細胞での固有の性質を持つ様、クロマチンの後天的な化学修飾による「エピジェネティック」な発現制御により、DNA配列の変化を伴わずに遺伝子の発現を調節している。この発現調節に異常が生じると、個体の発生異常や、がん・生活習慣病などの疾患を引き起こす。本研究では、エピジェネティックな制御機構のうち、遺伝子の発現をOFFにするメカニズムに着目し、申請者が近年の研究で見出した新規エピジェネ ティック修飾であるヒストンH3の14番目のユビキチン化修飾について、修飾の動態・局在を明らかにし、脱ユビキチン化酵素などその動態制御に関わる因子の特定・機能解明する事を目的とする。当該年度は、以下の課題を中心に研究を実施した。
【異種酵母内での高次クロマチンの「再構築」系の確立】遺伝学的なアプローチにより、分裂酵母の既知の20個程の脱ユビキチン化酵素をコードする遺伝子を欠損させて調査した結果、いくつかの脱ユビキチン化酵素をコードする遺伝子を欠損させた細胞では、既知の高次クロマチン制御因子と同様に、サイレンシング異常が観察された。よって、脱ユビキチン化酵素の高次クロマチン形成への関与が示唆されたが、高次クロマチン形成がどのように起こるのか不明な点が多く残されている。従って、高次クロマチン形成・維持のメカニズムを詳細に検証する為、ユニークな遺伝子増幅・維持機構を持つ出芽酵母のリボソーム RNA遺伝子領域を利用して、その領域に高次クロマチン形成へ関わる分裂酵母の遺伝子を組み込み、それらを酵母内で再構築する系を構築した。当該年度は、再構築した系を用いて、いくつかの高次クロマチン形成に関与する遺伝子を異種酵母内で発現させ、高次クロマチンのマークの一つであるヒストンH3の9番目のリジンのメチル化修飾の有無や高次クロマチンが再構築できるか検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、昨年度構築した高次クロマチン形成関連因子やメカニズムが異なる異種酵母内での高次クロマチンの「再構築」為の系を用いて、高次クロマチンの 再構築を試みた。いくつかの高次クロマチン形成に関与する遺伝子を異種酵母内で発現させ、高次クロマチンを再構築できるか検証した。その検証過程で、高次クロマチンのマークの一つであるヒストンH3の9番目のリジンがメチル化修飾の検証、および外来の遺伝子を安定に組み込み、保持する為の実験条件の検証に多くの時間を費やし、当初の計画より遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、構築した再構成の系を用いて、特定した脱ユビキチン化酵素を含む、高次クロマチン形成へ関わる因子発現させ、高次クロマチンを再構成する予定であ る。
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