研究課題/領域番号 |
20K15779
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分43060:システムゲノム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 (2021-2022) 奈良先端科学技術大学院大学 (2020) |
研究代表者 |
武藤 愛 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 訪問研究員 (80730506)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 薬剤耐性 / 接合伝達 / 大腸菌遺伝子欠失株ライブラリ / bar-seq |
研究開始時の研究の概要 |
細菌の薬剤耐性獲得への対策は世界規模で取り組むべき喫緊の課題である。薬剤環境下における適応進化の誘導により、耐性株のスクリーニングや遺伝型の特定は様々な研究で行われているが、耐性獲得能を抑止する因子については検出困難であることが課題であった。本研究では、大腸菌の接合伝達という細胞が別の細胞にDNAを送り込む仕組みを利用し、薬剤耐性をもたらす遺伝子欠失変異を他の遺伝子の欠失と組み合わせたときに耐性が失われるかどうかを観察することにより、細菌の薬剤耐性化抑制のターゲットとなる遺伝子の探索を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では細菌の薬剤耐性を抑制する手法の開発を目指し、大腸菌集団に薬剤耐性をもたらす遺伝子欠失変異を、寒天培地上で接合伝達機構を利用して網羅的遺伝子欠失株ライブラリに移すことで二重変異株の網羅的構築を行う。構築された網羅的二重変異株の薬剤下での生育度を測ることで、細菌の薬剤耐性を抑制するターゲット遺伝子を探索することを目的とした。 令和4年度は、前年度に得られた、高濃度抗生物質投与下で混合培養した大腸菌網羅的遺伝子欠失株ライブラリのダイナミクスデータを再解析して、集団に薬剤耐性をもたらすと推定される遺伝子欠失変異の候補について、より詳細な検討を行った。候補遺伝子には代謝酵素や転写調節因子をコードする遺伝子が含まれており、そのうち転写調節因子については薬剤耐性を含む微生物機能に関与する遺伝子群の転写調節を行うことが報告されていたが、代謝酵素については薬剤耐性との関連が報告されたものはなかった。複数実験での再現性やbiological replicatesの結果を元に、候補遺伝子を絞り込み、二重欠失株構築実験の検討を行なった。 また、所属の変更により使用できなくなった菌体コロニーアレイロボットの代わりに、現所属機関の保有する自動分注装置に、菌体コロニーアレイロボットの植菌用Padを組み合わせることにより寒天培地へのコロニーの植菌・整列が可能となったため、同じく所属の変更により使用不可となっていた寒天培地上のコロニー生育を観測するスキャナシステムの現所属での構築を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属の変更により利用できなくなっていた菌体コロニーアレイロボットに代わる菌体コロニーアレイシステムやコロニー生育観測のためのスキャナシステムを現所属に構築する必要が生じたため、環境構築に時間を要した。また、現所属で構築したスキャナシステムでは規模が小さいため多数のプレートについて時系列観察を並行して行うことができないことから、生育度の測定方法にも検討を要したために遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
寒天培地上のコロニーの植菌および観測のシステムはほぼ構築できたため、今後は耐性株が安定的に生えるかなど、寒天培地でのスクリーニングの条件検討を行なえば、ハイスループットに二重欠失株のスクリーニングを行なえる見込みである。
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