研究課題/領域番号 |
20K15795
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
杉山 伸樹 沖縄科学技術大学院大学, 膜生物学ユニット, ポストドクトラルスカラー (70868687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 出芽酵母 / 細胞膜細胞壁損傷応答 / オルガネラ / プロトン / 細胞極性 / 細胞膜損傷 / タンパク質相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜は常に細胞内外からのストレスにさらされており、しばしば損傷を受ける。細胞膜が損傷すると細胞内外の分子が流出入し、その状態が続くとやがて細胞死に至る。それを防ぐために細胞には細胞膜の損傷を感知し速やかに修復・応答する機構が備わっている。 これまでに、細胞膜が損傷すると細胞外から流入したCa2+によって細胞膜を修復するタンパク質や小胞などが損傷部位に集められることから、従来の研究はこの分子機構の解明に集中しており、その他の細胞膜損傷応答は重要視されてこなかった。 本研究では、細胞外からのプロトンなどの非Ca2+因子の流入に着目して、新たな細胞膜損傷応答経路の存在の実証を目指す。
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研究成果の概要 |
従来注目されていたカルシウム流入に依存しない新規な細胞膜/細胞壁損傷応答の探索とその機構の解明を行った。出芽酵母は弱酸性培地で細胞膜/細胞壁損傷を引き起こす界面活性剤への耐性が向上した。この際、細胞膜/細胞壁損傷時のプロトン流入に応答して一部のタンパク質が凝縮し、活性が変化することで損傷に応答している可能性が示唆された。 また、その他に損傷部位で小胞体の形態変化が起こることを発見した。この形態変化はエキソサイトーシスによる細胞膜リモデリングによって、小胞体-細胞膜間の接着が弱まることで起きていた。これによって、小胞体と修復因子間の細胞膜上での競合を解消していると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞膜や細胞壁は細胞の内と外を物理的に分けるが、様々な刺激によって損傷すると、細胞内の物質の流出や細胞外の物質の流入が起こる。細胞膜/細胞壁の損傷は最終的に細胞死を引き起こすため、細胞にはこのような損傷を修復する様々な機構が備わっている。本研究では、細胞内外のpHの違いを利用した損傷応答と、細胞内小器官の位置制御による損傷応答という新たな細胞膜/細胞壁損傷応答を発見した。これらの結果は、細胞膜/細胞壁損傷による酵母の細胞死を減らして物質生産を向上させる手法の開発や、細胞膜損傷が関わるヒトの疾患の治療法の開発に繋がることが期待される。
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