研究課題/領域番号 |
20K15818
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 佳祐 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (20805931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 光 / 概日時計 / 光周性 / 成長相転換 / 基部陸上植物 / ゼニゴケ / 光受容体 / 日長 / 光シグナル / 日長認識 |
研究開始時の研究の概要 |
日長を認識した季節応答は、生物が適切なタイミングで繁殖する仕組みとして重要である。被子植物の日長認識機構は、光シグナルと概日時計の相互作用によって成立する。日長要求性の違いによって相互作用の仕組みが異なることから、個々の植物種がそれぞれに適した日長認識機構を進化させたことが予想されるが、これまでの日長認識機構の解析は被子植物に限定されており、進化的な考察が不十分であった。本研究では、基部陸上植物である苔類ゼニゴケの日長認識機構を、生理学・生化学・分子遺伝学的な手法によって多角的に解析し、日長認識の基本メカニズムを分子レベルで解明することで、陸上植物の日長認識機構の普遍性と多様性を理解する。
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研究成果の概要 |
本研究では基部陸上植物である苔類ゼニゴケの日長認識機構を検証した。24時間以外の様々な日周条件でゼニゴケの成長相転換を観察し、ゼニゴケの成長相転換が概ね明期と暗期の長さの比によって決まることを明らかにした。また、時計遺伝子の破壊や、薬理学的な解析によって内生のリズムを撹乱しても成長相転換に大きな影響が生じないことを確認した。さらに、明期の長さに応答して発現変動が生じる遺伝子をRNA-seqによって同定し、多数の植物ホルモン生合成酵素遺伝子が含まれることを見出した。以上より、被子植物とは異なり基部陸上植物ゼニゴケは概日時計に大きく依存しない日長認識機構をもつことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日長を認識して応答を制御する「光周性」は概日時計と光シグナルの相互作用を介した外的符号モデルによって制御されることが知られていたが、光周性研究は被子植物に限定されていたため、幅広い植物種にも外的符号モデルが成り立つのかは未明であった。本研究ではゼニゴケの日長応答が概日時計に大きく依存せず、明期と暗期の長さの比によって決まることを明らかにし、基部陸上植物が被子植物とは異なる日長認識機構を持つこと明らかにした。これまでは限られた植物種の解析によって日長認識機構のモデルが提唱されてきたが、本研究の成果は植物が多様な日長認識機構をもつ可能性を示しており、研究分野に新たな視点をもたらすと考えられる。
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