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ストレス応答と独立に働く、アブシシン酸非依存的な気孔の二酸化炭素応答機構

研究課題

研究課題/領域番号 20K15820
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分44030:植物分子および生理科学関連
研究機関九州大学

研究代表者

門田 慧奈  九州大学, 理学研究院, 助教 (30782255)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード気孔 / 二酸化炭素 / アブシシン酸 / 環境応答 / シロイヌナズナ
研究開始時の研究の概要

植物は自身が受けるストレスを最小限にしつつ、周囲の二酸化炭素量・光量に合わせて光合成に必要なだけの二酸化炭素を取り込めるように気孔開度を精密に調節する。本研究では気孔のもつ「ストレスに対処する」機構と「二酸化炭素取り込み量を制御する」機構を分離し、後者のメカニズムの解明に向けた知見を得ることを目的とする。そのために「ストレス対処機構」の中枢であるアブシシン酸応答機構と独立した、「純粋な二酸化炭素応答機構」に関わる新規遺伝子を同定し、その機能を精査する。

研究実績の概要

これまでに、アブシシン酸に対する気孔閉鎖能力が正常である一方で、二酸化炭素濃度上昇に対する気孔閉鎖能力に異常を持つシロイヌナズナ系統を複数単離し、このうち2系統について原因遺伝子を同定している。令和5年度ではまず、まだ原因遺伝子が未同定の系統から原因遺伝子を同定するため、次世代シーケンス解析を実施した。選抜系統と標準系統を掛け合わせて自殖させた系統の中から、選抜系統と同様の気孔応答性を示す個体群を選抜し、そのバルクDNAから全ゲノムのリシーケンス解析を行ったところ、選抜系統由来のゲノムが集中して残っている領域を見出した。この領域を原因遺伝子の座乗候補領域とみなし、絞り込んだ領域の中に存在する遺伝子について、アノテーション情報を精査しているところである。有力な遺伝子候補については、タグラインの解析や、人為的に発現量を操作した場合の気孔応答性の確認を行う。また、原因遺伝子が座乗していると推測されるゲノム領域幅をさらに縮めるため、次年度に追加の次世代シーケンス解析を行う。また、すでに原因遺伝子を同定した系統について、原因遺伝子と気孔応答との関係を明らかにするため、原因遺伝子との関わりが示唆される代謝産物を外部から添加した時の気孔応答性を精査している。また原因遺伝子の発現を人為的に操作した形質転換系統の解析も進めている。さらに、選抜系統とABA非感受変異体を掛け合わせて二重変異体を作出しているところであり、系統が確立でき次第、気孔応答性を解析し、ABA依存的・非依存的なシグナル伝達経路が共に阻害された場合、気孔応答性がどうなるかを調べる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

選抜系統のうち、原因遺伝子を同定しようとしている1系統については、次世代シーケンス解析によって原因遺伝子が座乗していると推測されるゲノム領域が絞られつつある。またすでに原因遺伝子が同定された系統についても、原因遺伝子と気孔応答との関係について解析を続けており、特定の代謝産物が気孔応答に関与しているのではないかと仮説を立て、これを外部から添加した時の気孔応答性を精査しているところであるが、進捗は順調である。また形質転換体を作出して、組織特異的に原因遺伝子を発現させた場合の気孔応答性の変化の解析を進めているが、遺伝子の局在と気孔応答性の関係について、仮説を裏付けるデータがとれてきている。よって研究はおおむね問題なく進展している。

今後の研究の推進方策

現在原因遺伝子同定中の系統に関しては、追加の次世代シーケンス解析によって、原因遺伝子が座乗するゲノム領域をさらに絞り込む。さらに、絞り込んだゲノム領域の中に存在する遺伝子の中から、有力な原因遺伝子候補を抽出し、タグラインを取り寄せてCO2応答性を解析する。また原因遺伝子候補の発現量を人為的に操作した場合の気孔応答性の確認を行う。すでに原因遺伝子を同定した系統については、原因遺伝子が関与している代謝産物を外部から添加した時の気孔応答性を引き続き解析する。また野生株と選抜系統の葉内の代謝産物量の定量も行う。また、原因遺伝子が関与する気孔閉鎖応答と、ABA依存的な気孔閉鎖応答が共に阻害された場合に、植物の気孔閉鎖応答がどうなるのかを調べるため、選抜系統とABA非感受変異体を掛け合わせて二重変異体を作出しているところであり、系統が確立でき次第、気孔応答性解析を行う。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (22件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 5件)

  • [雑誌論文] Cuticle permeability is an important parameter for the trade-off strategy between drought tolerance and CO2 uptake in land plants2021

    • 著者名/発表者名
      Monda Keina、Mabuchi Atsushi、Negi Juntaro、Iba Koh
    • 雑誌名

      Plant Signaling & Behavior

      巻: 16 号: 6 ページ: 1908692-1908692

    • DOI

      10.1080/15592324.2021.1908692

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Increased Cuticle Permeability Caused by a New Allele of ACETYL-COA CARBOXYLASE1 Enhances CO2 Uptake2020

    • 著者名/発表者名
      Monda Keina、Mabuchi Atsushi、Takahashi Sho、Negi Juntaro、Tohmori Ryoma、Terashima Ichiro、Yamori Wataru、Iba Koh
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 184 号: 4 ページ: 1917-1926

    • DOI

      10.1104/pp.20.00978

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナの貧窒素環境適応機構に関わるQTLsの探索2024

    • 著者名/発表者名
      門田 慧奈, 馬渕 敦士, 祢冝 淳太郎, 井内 聖, 小林 正智, 野田口 理孝, 筒井 大貴, 阿部 光知, 櫻庭 康仁, 柳澤 修一, 射場 厚
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 気孔の二酸化炭素応答基準に関わるシロイヌナズナ新規変異体2023

    • 著者名/発表者名
      門田 慧奈, 秀野 智紀, 中江 聡子, 祢冝 淳太郎, 射場 厚
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] CO2高感受性シロイヌナズナ野生系統における光障害回避メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      秀野 智紀, 中江 聡子, 丸山 祐汰, 後藤 栄治, 祢冝 淳太郎, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アブシシン酸非依存的な気孔応答に関係するシロイヌナズナ新規変異体の解析2023

    • 著者名/発表者名
      中江 聡子, 秀野 智紀, 祢冝 淳太郎, 小嶋 美紀子, 竹林 裕美子, 榊原 均, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      日本植物学会第87回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Stomatal characteristics of an Arabidopsis: Natural accession with high sensitivity to increased CO22023

    • 著者名/発表者名
      Shuno T, Nakae S, Mabuchi A, Negi I, Iba K, Monda K
    • 学会等名
      The 33rd International Conference on Arabidopsis Research
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Isolation of an Arabidopsis mutant involved in abscisic acid-independent stomatal closure2023

    • 著者名/発表者名
      Nakae S, Shuno T, Takahashi S, Mabuchi A, Negi J, Kojima M, Takebayashi Y, Sakakibara H, Iba K
    • 学会等名
      The 33rd International Conference on Arabidopsis Research
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 気孔の二酸化炭素応答基準の決定因子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      門田 慧奈, 秀野 智紀, 中江 聡子, 祢冝 淳太郎, 射場 厚
    • 学会等名
      九州沖縄植物学会第72回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Stomatal characteristics of an Arabidopsis ecotype with high CO2 sensitivity.2022

    • 著者名/発表者名
      Shuno T, Nakae S, Mabuchi A, Negi J, Iba K, Monda K.
    • 学会等名
      The 32th International Conference on Arabidopsis Research (ICAR2022)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] CO2高感受性の表現型をもつシロイヌナズナ野生系統の特徴とその主働遺伝子の探索2022

    • 著者名/発表者名
      秀野 智紀, 中江 聡子, 馬渕 敦士, 祢冝 淳太郎, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ABAシグナル非依存的に気孔のCO2応答性が変化したシロイヌナズナ新規変異体の解析2022

    • 著者名/発表者名
      中江 聡子, 秀野 智紀, 馬渕 敦士, 祢冝 淳太郎, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] CO2高感受性を示すシロイヌナズナエコタイプの表現型解析とその主動遺伝子の探索2022

    • 著者名/発表者名
      秀野 智紀, 中江 聡子, 馬渕 敦士, 祢冝 淳太郎, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      九州沖縄植物学会(第71 回) 日本動物学会九州支部(第74 回) 日本生態学会九州地区会(第66 回) 2022年度三学会合同佐賀大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 気孔のアブシシン酸応答とCO2応答が分離したシロイヌナズナ新規変異体の単離2022

    • 著者名/発表者名
      中江 聡子,秀野 智紀,東馬場 徳,馬渕 敦士,祢冝 淳太郎,射場 厚,門田 慧奈
    • 学会等名
      九州沖縄植物学会(第71 回) 日本動物学会九州支部(第74 回) 日本生態学会九州地区会(第66 回) 2022年度三学会合同佐賀大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] アブシシン酸非依存的にCO2誘導性の気孔閉鎖能が低下した新規変異体の単離2022

    • 著者名/発表者名
      中江 聡子, 秀野 智紀, 東馬場 徳, 馬渕 敦士, 祢冝 淳太郎, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] CO2高感受性を示すシロイヌナズナ野生系統の単離とその表現型解析2022

    • 著者名/発表者名
      秀野 智紀, 中江 聡子, 東馬場 徳, 馬渕 敦士, 祢冝 淳太郎, 射場 厚, 門田 慧奈
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Increased Cuticle Permeability Caused by a New Allele of ACETYL-COA CARBOXYLASE 1 Enhances CO2 Uptake Efficiency in Arabidopsis.2021

    • 著者名/発表者名
      Monda K, Mabuchi A, Takahashi S, Negi J, Tohmori R, Terashima I, Yamori W, and Iba K
    • 学会等名
      The 31st International Conference on Arabidopsis Research
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Shoot-to-root long-distance signals found in an Arabidopsis thaliana ecotype improve growth under nitrogen deficient conditions.2021

    • 著者名/発表者名
      Mabuchi A, Monda K, Notaguchi M, Tsutsui H, Sakuraba Y, Negi J, Abe M, Yanagisawa S, and Iba K
    • 学会等名
      The 31st International Conference on Arabidopsis Research
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ACETYL-COA CARBOXYLASE 1の新規変異によるクチクラ透過性の上昇はCO2取込み効率を向上させる2021

    • 著者名/発表者名
      門田 慧奈,馬渕 敦士,高橋 將,祢冝 淳太郎,東森 崚馬,寺島 一郎,矢守 航,射場 厚
    • 学会等名
      九州沖縄植物学会(第70回)・日本動物学会九州支部(第73回)・日本生態学会九州地区会(第65回)三学会合同福岡大会2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] シロイヌナスズナ野生系統がもつ極限低窒素環境適応力を高める移動性シグナル2021

    • 著者名/発表者名
      馬渕 敦士, 門田 慧奈, 野田口 理孝, 筒井 大貴, 櫻庭 康仁, 祢冝 淳太郎, 阿部 光知, 柳澤 修一, 射場 厚
    • 学会等名
      九州沖縄植物学会(第70回)・日本動物学会九州支部(第73回)・日本生態学会九州地区会(第65回)三学会合同福岡大会2021
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] シロイヌナズナのACETYL-COA CARBOXYLASE1の新規変異が引き起こすクチクラ透過性の上昇は、CO2取り込み効率を向上させる2021

    • 著者名/発表者名
      門田慧奈、馬渕敦士、高橋將、袮冝淳太郎、東森崚馬、寺島一郎、矢守航、射場厚
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 極限低窒素適応形質の接木によるシロイヌナズナエコタイプ間移動2020

    • 著者名/発表者名
      馬渕敦士、門田慧奈、野田口理孝、筒井大貴、櫻庭康仁、袮冝淳太郎、阿部光知、柳澤修一、射場厚
    • 学会等名
      日本植物学会第84回大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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