研究課題/領域番号 |
20K15835
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山岸 弦記 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 特別研究員(PD) (80845868)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | エストロゲン / 糖新生 / 爬虫類 / 卵胞発育 / 排卵 / g6pc1 / 糖代謝 / 遺伝子発現 / 脂肪合成 / 胎生魚 / 卵生 / 胎生 |
研究開始時の研究の概要 |
エストロゲンは繁殖中の栄養動員をになうが、卵生と胎生の動物で血糖値を逆向きに制御する。このことは、胎生移行にともなう栄養動員機構の再編成を示唆する。しかし、卵生動物で栄養動員を引き起こすしくみは不明である。本研究ではニホンヤモリを用いてエストロゲンの代謝制御を遺伝子発現と代謝物から解析するとともに、遺伝子ノックダウン実験でも検証する。また、胎生移行による再編成を非哺乳類の胎生種で調べる。
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研究実績の概要 |
本研究は、卵生動物のエストロゲンが卵黄形成を促進しつつ、糖新生を抑制して血糖降下にはたらく意義の解明を目的とする。この目的で、爬虫類を実験モデルとして、卵黄形成中の血中エストロゲン変動と遺伝子発現の相関を調べる。また、エストロゲン作用による代謝経路の変動を、代謝物と遺伝子発現を定量して検証する。さらに、糖新生の制御が繁殖にもたらす影響を、遺伝子ノックダウンによって検証する。これらの実験に加え、卵生から胎生への移行がエストロゲン作用にもたらす変化を検証するため、非哺乳類の胎生脊椎動物を用いて実験を行う。 2022年度は、ヤモリの血中E2濃度変動と遺伝子発現との相関を調べた。血中E2濃度は卵胞発育期に最も高く、排卵後にやや低下し、非繁殖状態ではさらに低いという、卵生動物に一般的な変動を示した。一方、糖新生酵素(pck, g6pc1)の発現は繁殖中に上昇するが、排卵の前後で有意差は見られない。このことは、繁殖期の進行に伴うE2濃度上昇にしたがって糖新生抑制の度合いが強まるのではなく、繁殖期初期の時点ですでに糖新生が充分抑制され、繁殖の終わりまで継続することを示唆する。 また、代謝変動を解析するツールとして、ヤモリ肝臓細胞の初代培養を試みた。現在までに肝臓片由来の細胞がディッシュに定着することを確認している。 胎生魚の実験について、糖新生酵素と脂肪合成酵素(acc1, fasn)の定量が可能なqPCR用プライマーを設計・選定した。このプライマーを用いて、血中E2濃度に応じた遺伝子発現の定量を試みた。しかし、グーデア科2種の血中E2濃度はELISAキットの検出限界を下回っており他魚種と比較して大幅に低いことが示唆された。今後は、他魚種を参考に複数のE2濃度で暴露実験を行って遺伝子のE2応答を調べる。また、抗エストロゲン薬であるタモキシフェンを投与して、遺伝子発現へのE2の寄与を調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
血中ホルモン濃度、遺伝子発現の定量にあたり、サンプリングや測定方法に変更が必要となったため、使用する実験動物の確保に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
爬虫類の実験については、引き続き非繁殖状態と繁殖状態のそれぞれを誘導した個体からサンプリングを行い、代謝経路の比較とノックダウン実験を継続する。ノックダウン実験については、肝臓の初代培養を利用する方法も試行中である。胎生魚については、E2暴露実験とタモキシフェン投与実験を行って、糖新生酵素・脂肪合成酵素のE2応答性を検証する。
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