研究課題/領域番号 |
20K15852
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
今田 弓女 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 助教 (80818948)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 隠蔽型擬態 / 背景同化 / 色解析 / 植食性昆虫 / 生態形態学 / 擬態 / 適応進化 / 双翅目昆虫 / 生態形態 / コケ植物 / 肉質突起 / 生物間相互作用 / コケ / 双翅目 / 捕食 / 進化生態学 / 昆虫生態学 / 隠蔽擬態 / マスカレード擬態 / 寄生蜂 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の上で暮らす多くの昆虫は、体の色や模様によって植物をまねている。シリブトガガンボ亜科の昆虫の幼虫はコケを巧妙にまねていることは2世紀以上前から知られている。しかし私は、同科のもう一つの亜科に属する幼虫がまったく異なる物体を模倣していることを発見した。これを新たな擬態進化のモデル系として、本研究では「植食者の多様な色や形の進化は生息環境や他生物との関係のなかでいかに方向づけられるか」という問いに挑む。本系統における擬態の進化仮説を提唱し、これを生態学・形態学・生理学などの複合的見地から検証する。
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研究成果の概要 |
植食性昆虫には天敵に対する多様な防衛戦略がみられ、とくに植物への隠蔽型擬態は適応進化の例としてよく知られる。だが、隠蔽に関与する形態が食性範囲や生息環境などの生態といかに関連しつつ進化したかを明らかにした研究は少ない。本研究では、シリブトガガンボ亜科(ハエ目シリブトガガンボ科)という独自の系を用いてこれを検証した。多くの種について幼虫の餌と生息環境を解明し、それが体色や肉質突起といった形態的特徴と関連していることが示唆された。とくに陸生コケ食者の体色の解析結果は、各種の体色が生息環境と相関することと、半透明のクチクラが背景色を透過させることで擬態の精密さを高めているという可能性を示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
コケに似た姿をもつ昆虫の幼虫という独自の系について、野外調査、画像解析、形態学・組織学的手法による機能解析、分子系統解析などを行い、これらの成果を統合することで、背景同化が進化する生態学的背景に対して新たな洞察を得ることができた。さらに本研究の成果に基づき、コケと動物の相互作用の観点からみたコケの生態学的機能や、昆虫の幼虫の生態形態に関する新たな着想を得ることができた点でも学術的意義が高いと考えている。 また、本研究成果に基づいて研究代表者は14回の講演を行い、また成果の一部は多数の新聞・雑誌で紹介された。こうした学界内外での活動を通じて社会への還元を十分に成すことができたと考えている。
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