研究課題/領域番号 |
20K15853
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 神戸大学 (2021-2022) 国立遺伝学研究所 (2020) |
研究代表者 |
大沼 亮 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 講師 (80756825)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 渦鞭毛虫 / クリプト藻 / 盗葉緑体 / 細胞内共生 / 窒素同化 / 渦鞭毛藻 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成性真核生物は、細胞外から無機窒素を取り込み、葉緑体でアミノ酸を合成する(=窒素同化)。窒素同化機構は葉緑体を獲得する過程で成立したものと推測されるが、その過程は不明である。盗葉緑体性渦鞭毛虫類は、単細胞藻類と一時的な細胞内共生関係を生じる系統群で、葉緑体獲得の前段階と解釈される。申請者により、盗葉緑体性渦鞭毛虫には無機窒素同化能があることが明らかとなったが、その分子機構と起源は不明である。本研究では、渦鞭毛虫が有する窒素同化機構に関連する遺伝子群の同定と、共生関係維持における機能の解析を行う。さらに、近縁種間での比較を行い、共生進化における窒素同化系の成立機構・過程を明らかにする。
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研究成果の概要 |
藻類は細胞内共生によって誕生したとされるが、捕食栄養性から細胞内共生を経て藻類化する進化過程には不明な点が多い。本研究は盗葉緑体性渦鞭毛藻類Nusuttodinium spp.を主な対象とし、盗葉緑体の維持機構を解明することを目的とした。捕食に近い盗葉緑体現象を示すN. poecilochroumは硝酸同化関連遺伝子群が発現しないのに対し、真の葉緑体に近い現象を示すN. aeruginosumではそれらの遺伝子群が明期で発現上昇することがわかった。N. aeruginosumの硝酸還元酵素はクリプト藻からの水平転移によって獲得されたものであり、窒素源に応じて発現が変動することも明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一時的に共生体を維持する生物を用いたこれまでの研究では、宿主と共生体の系統解析、宿主への遺伝子の水平転移などに焦点を当てられてきた。対して本研究では、植物・藻類と類似した硝酸同化機構を盗葉緑体性の段階でも進化させうることを示し、細胞内共生の成立には光合成能の維持とその制御だけではなく、無機栄養塩の同化能も重要である可能性を示した。
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