研究課題/領域番号 |
20K15867
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
池田 虎三 金沢大学, 先端科学・社会共創推進機構, 研究員 (10700932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ヒノキアスナロ / 種分化 / 局所適応 / 遺伝 / クローナル繁殖 / 局地適応 / アスナロ属 / SNPs |
研究開始時の研究の概要 |
クローナル繁殖は、実生更新が望めない厳しい寒冷な環境下で個体群を維持するための重要な繁殖様式である。アスナロ属のアスナロと、その変種であるヒノキアスナロは、天然林分布が日本海側と太平洋側に明確に分かれており、ヒバは日本海側の寒冷な環境に局所適応していると考えられる。ヒバでは局所適応を通じて、繁殖様式を伏状更新によるクローナル繁殖を主とした方法に変化することで、アスナロと生態的に種分化している可能性がある。本研究では、アスナロ属2変種の繁殖様式の比較、および2変種間の遺伝的変異を解析することで、2変種間の繁殖様式における遺伝要因の影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、アスナロ属のアスナロとその変種であるヒノキアスナロの2変種間の天然林分布の相違および、2変種に観察される特徴的な繁殖様式であるクローナル繁殖に着目し、2変種間の局所適応における遺伝的要因を明らかにすることである。クローナル繁殖は、実生更新が望めない厳しい寒冷な環境下で個体群を維持するための重要な繁殖様式である。アスナロとヒノキアスナロは、天然林分布が日本海側と太平洋側に明確に分かれており、ヒバは日本海側の寒冷な環境に局所適応していると考えられる。ヒバでは局所適応を通じて、繁殖様式を伏状更新によるクローナル繁殖を主とした方法に変化することで、アスナロと生態的に種分化している可能性がある。集団間のクローナル繁殖の頻度の違いは、集団間の遺伝的構造の違いとして反映されていると考えられるが、繁殖様式の変化における遺伝要因の影響は不明確である。本研究では、アスナロ属2変種の繁殖様式の比較、および2変種間の遺伝的変異を解析することで、2変種間の繁殖様式における遺伝要因の影響を明らかにする。 これまで2変種の遺伝解析をおこない、変種間の遺伝的差異を明らかにした。また挿し木試験において変種間の発根特性の違いを明らかにし、それらの結果が地域間との相違として観察されるか検討してきた。令和4年度は、取得した遺伝子変異の解析を実施し、2変種間の形質に係ると推測される変異の抽出を行った。今年度はそれらの変異についての解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、おもに2変種間に観察される地域間の形質の相違が遺伝的要因に起因しているのかの解析を行った。ビッグデータ解析に必要な半導体の不足等の影響もあり、データの解析に時間を要している。しかし、形質に関連すると推測されるいくつかの遺伝子変異が抽出されてきており、今後これらの解析を実施する。次年度ではそれらを解析しまとめる見通しである。引き続き、2変種間における繁殖特性を明らかにするとともに、遺伝的な関係性についての考察を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度も引き続き取得したデータをもとに、地域間の繁殖様式の相違に焦点をあてた遺伝解析を行う。令和2および3年度は他地域への移動が一部制限されていたために、試料採取が困難であった箇所もあるため、引き続き、他の研究機関とも連携し試料の確保に努める。またそれらの試料をもとに遺伝的変異についての解析をおこない、2変種間で有意に選択を受けて分化したと推定できる遺伝変異のより詳細な解析を試みる。
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