研究課題/領域番号 |
20K15873
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2023) 総合研究大学院大学 (2020) |
研究代表者 |
野間野 史明 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (40783816)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 群れサイズ / 腸内細菌 / 協同繁殖 / 群居性 / 鳥類 / ヘルパー / 地理変異 / 社会構造 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌には宿主を利する菌が存在する一方で、病原性を持つものもあることが知られているが、腸内細菌群集が総体として宿主を利するか否かについては自然条件における検証がなされていない。本研究では、菌の伝播効率に着目し、協同繁殖するエナガ(Aegithalos caudatus)の社会構造の地域変異と腸内細菌群集の間の関係を明らかにする。(1)繁殖時の群形成傾向が強い地域個体群において個体間の細菌伝播が促進されるか、(2)促進された細菌伝播が、病原菌の増加により宿主の健康状態を悪化させるか、細菌群集多様性の増進により宿主の健康状態を改善するのか、検証し、細菌群集が介在する群形成コストを明らかにする。
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研究実績の概要 |
動物に見られる群れ生活はその利益がコストを上回る場合に維持されると予想される。群居性の動物では個体間の細菌やウイルスの伝播が起きやすいと考えられているが、腸内細菌の個体間伝播については群居性の利益になるのかコストになるのかは多くの種で明らかではない。協同繁殖する鳥類エナガAegithalos caudatusは、環境条件によって群れ形成傾向が異なる。当該年度においては関東地方及び四国地方で対象種エナガの捕獲を行い、過年度同様DNA分析用標本(血液・フン)及び個体毎の健康状態の指標となるデータ(体重・体長等)、形態写真の収集を進めた。現在、腸内細菌叢定量のための本実験の準備を進めている。エナガの群居性の環境依存性については、公共データベースから本種の群れサイズを抽出し、国内の全生息域においてその地域差及び関連する環境要因の一部を明らかにすることができた(日本生態学会にて発表)。群れサイズの地域差の推定値が得られたことにより、群れサイズの異なる地域間で腸内細菌叢を比較する見通しが立ってきた。群れサイズが平均して大きい地域では腸内細菌の多様性が高いか確認する、さらに腸内細菌多様度が宿主個体に及ぼす影響を評価する目標に向けて前進したと言える。一方で、エナガの地域間の遺伝的相違が、環境から獲得・保持される腸内細菌種に違いをもたらす可能性があり、群居性における腸内細菌叢の役割を明確にするためには不可欠な要素である。この点を明らかにするため共同研究者と共にエナガの地域集団間の系統解析・集団遺伝学的解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DNA分析(菌叢解析)に用いる標本の十分な確保に想定よりもやや時間を要している。また、標本収集と同時並行的に実験方法の部分的見直しを行っており、実験準備についても予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
腸内細菌叢を定量するための実験作業を迅速に進める。他の業務との兼ね合いにより、秋期以外には十分な回数の野外調査を行うことが困難であるため、秋に集中して野外調査を行い、12月頃までに必要な標本数の確保を目指す。それまでに実験の準備を整え、標本が揃った時点で直ちに実験を開始できるよう努力する。
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