研究課題/領域番号 |
20K15874
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 宮崎大学 (2022) 北海道大学 (2021) 神戸大学 (2020) |
研究代表者 |
和田 葉子 宮崎大学, 農学部, 助教 (00865420)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 粘液 / 貝類 / 群集生態学 / 岩礁潮間帯 / 群集構造 / 群集動態 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、岩礁潮間帯に多数生息する貝類が、その移動のたびに分泌する“粘液”に着目し、貝類粘液を介した種間相互作用の存在が、岩礁潮間帯群集理解において極めて重要な役割を果たしていることを明らかにするものである。そのために、野外で貝類が塗布する粘液量を推定するとともに、捕食者-被食者間、被食者-海藻間での粘液利用を調べる。また、粘液の成分分析を行い、どの成分が個体識別や海藻成長に効いているのか評価する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,海岸において,貝類が普遍的に生成する“粘液”を介した生物間相互作用ネットワーク、“ねばねばネットワーク”の全貌を解明し、それらが群集の構造や動態を理解する上で極めて重要なファクターであることを量的・質的に示すことである。 3年目にあたる本年度は,(1)貝類の野外での行動をタイムラプス画像データとして取得,行動軌跡の解析,(2)貝類約15種の粘液塗布量-塗布距離関係式作成,(3)粘液成分分析を行った。(1)行動軌跡データに関しては,野外に10個のカメラを仕掛け,数日間のデータ取得に成功した。画像データから,行動軌跡を解析中であり,貝類に集合性がある場合の集合形成・維持メカニズムを解明している。また,その際,岩盤に残る粘液が他生物に与える影響を明らかにするため,粘液存在下と非存在下の岩盤上のクロロフィル量を測定した。粘液によりクロロフィル量が増える可能性が示唆されており,解析を進めていく。(2)調査地で複数種の貝類を採集し,各種最低5個体の粘液塗布量-塗布距離関係を調べた。室内において,貝類のサイズ,這った距離,塗布粘液量を調べた。各貝類の形態的,生態的特徴と合わせて解析を進めている段階である。(3)成分分析に関しては,精製方法を確立した。 以上の成果は,1つの国内学会で発表している。また,2本の論文を執筆中であり,共同執筆者として執筆した文章が,2冊の本として出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動データの取得や解析は予定通り進んでいる。また,調査地にて採取した貝類の粘液塗布量データの取得も予定通り進んでいる。一方で,採取できる粘液量が微量であることから,成分分析が予定通りに進展していない。そのため,おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる本年度は,主に成分分析に力を入れる。これまで,タンパク質や糖の成分分析を行ってきたが,これに合わせ,C,N,P比を測ることを目指す。そのため,微量でも計測可能な機械を使用し,計測を試みる。また,貝類粘液による他生物群集への影響を明らかにすべく,すでに採取した試料を用いて,粘液下に存在する微生物叢を解明する。また,シミュレーション技術を援用し,粘液の有無で群集の形成や動態がどう変動するか明らかにする。
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