研究課題/領域番号 |
20K15878
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
上村 卓矢 埼玉大学, 理工学研究科, その他 (80847179)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 共生菌 / ハスモンヨトウ / シロイヌナズナ / 植物ホルモン / 植物防御応答 / 害虫 |
研究開始時の研究の概要 |
植物はハスモンヨトウのような植食性害虫による食害を受けると、害虫の唾液成分を認識することで防衛応答を誘導する。また害虫唾液内に生息する共生菌による植物の防御応答抑制機構(エフェクター作用)の存在が示唆されているものの、その詳細な分子メカニズムは明らかにされていない。本研究では、シロイヌナズナの害虫防衛機構の制御に関わるハスモンヨトウ幼虫唾液内共生菌を単離し、植物防衛機構における作用機序を明らかにすることで、植物-植食者-共生微生物の三者間の相互作用機序を紐解く。
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研究成果の概要 |
害虫の唾液内に生息する共生微生物は、寄主植物のシグナル伝達経路に作用することで、植物の防衛応答を制御し害虫の食害効率を向上させる可能性が近年示唆されてきたものの、当該応答の詳細な分子メカニズムは明らかにされていなかった。そこで本研究では無菌唾液を作製し、唾液内共生菌が植物防衛機構に及ぼす影響について評価したところ、共生菌は様々な植物ホルモンシグナル伝達経路を活性化することで、虫害抵抗性反応を間接的に阻害していることが明らかになった。また当該応答を担う共生菌を単離することに成功した。本研究の成果は多様な植物―昆虫間相互作用の一端を明らかにするものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの植物―昆虫間相互作用研究は害虫唾液内に含まれるエリシターとそれに応答する植物分子に関する知見が蓄積し、最近になって唾液内共生菌の寄与についても示唆されてきたが、共生菌がどのように当該相互作用に影響しているのかは不透明だった。本研究によって、共生菌が植物内の多様なホルモンシグナル経路を活性化し、経路間のクロストークを介して害虫抵抗性ホルモン経路の活性化を抑制するという新規モデルを打ち立てた。本研究の成果は生態系における3者間(植物、昆虫、微生物)の新たな関係性を示唆するとともに、農薬に依存しない新たな有機農法の開発につながることが期待される。
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