研究課題/領域番号 |
20K15879
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 東邦大学 (2020) |
研究代表者 |
児島 庸介 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定研究員 (90793026)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 表現型進化 / 多様化 / 分子進化 / 進化 / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
カエル類はわずかな光があれば色を識別できる特殊な視覚を持ち、夜の暗がりの中で体色に基づく配偶者選択を行う。また、そのような夜行性カエル類では非常に鮮やか且つ多様な体色シグナルが進化している。本研究では、ゲノム/RNAシーケンシングにより、体色が著しく多様化しているアオガエル類が持つ光受容タンパク質の種類と発現量を明らかにし、暗所における体色を用いたコミュニケーションの分子基盤を解明する。さらに、体色と視覚の進化史を解明することで、夜行性カエル類における形質の多様化のプロセスに迫る。
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研究実績の概要 |
本年度は、新たなサンプルの採集、遺伝子解析、これまでに得られた次世代シーケンスデータの解析を行った。昨年度までの研究で、当初の対象種群において視覚に関わる遺伝子の塩基配列の多様性が予想以上に大きいことがわかり、系統発生の早い段階から多様化が始まったことが示唆された。そこで、本年度は、サンプリングの対象を拡大し、より広い系統のサンプルを収集した。本年度の初めには新型コロナウイルス感染症拡大防止のため野外調査の実施を見送ったケースもあったが、活動制限の緩和に伴い海外でのサンプリングを実施することができ、解析上重要な種を採集することができた。現地で調査許可・サンプル輸出許可を発行する機関が変更になった影響で手続きに時間を要しており、それらのサンプルを使った遺伝子解析は次年度に繰り越すこととなったが、サンプルの輸出および今後の解析の準備を進めた。また、これまでに得ていたサンプルを用いて次世代シーケンサーによる遺伝子解析を行い、新たな配列データを取得した。これについては、上記の海外サンプルのデータと合わせて塩基配列データの解析に供する予定である。そのほか、これまでに得られた次世代シーケンスデータの解析を進めた。核ゲノム決定に関しては、ゲノムサイズが大きいこと等の理由で予想より時間を要しているが、昨年度から継続して、スーパーコンピュータを使った新規アセンブリの計算を行った。発現遺伝子の解析については、昨年度までに仮説を支持する結果が得られていた。今年度は、解析手法の再検討を行ったほか、追加の解析を実施し、より信頼性が高い結果を得ることができ、多角的な仮説の検証が可能になった。追加データが得られた時点で論文原稿を国際学術誌に投稿するべく、原稿の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため野外調査は控えていたが、本年度は海外での調査を一部実施することができ、解析上重要な種をサンプリングすることができた。現地の研究体制の改革の影響で、遺伝子解析は次年度に持ち越しとなったものの、表現型多様化の開始時期について重要な知見が得られることが期待される。核ゲノム決定については、ゲノムサイズが大きいこと等により時間を要しているものの、計算は着実に進んでいる。このように、新型コロナウイルス感染症パンデミック等の社会状況の影響による研究スケジュールの変更があったものの、視覚に関わる遺伝子について当初の想定以上に高い多様性があることが明らかになり、重要なサンプルの入手により今後の解析の目処が立ったことから、 研究はおおむね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に海外で採集したサンプルについては、輸出許可が発行され次第、遺伝子解析に供する。これにより、視覚に関わる遺伝子の多様化過程の解明に取り組む。現在進行中の核ゲノムのアセンブリについては、完了した後速やかにゲノム進化パターンおよび適応の分子的基盤の解明に向けた解析を行う。得られた結果について原稿に取りまとめ、国際学術誌に投稿する。
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