研究課題/領域番号 |
20K15891
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田路 矩之 北海道大学, 理学研究院, 特別研究員(PD) (20866371)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 動物行動 / ソングバード / 神経科学 / single cell RNA-seq / 細胞機能行動学 / Single cell RNA-seq / Single cell ATAC-seq / 細胞タイプ特異的エンハンサー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、動物の行動・認知は脳内のどのような細胞集団によって、どのように制御されているのか、を明らかにすることを目指す。 鳴禽類ソングバードのさえずり学習行動は、さえずりに特化した脳領域(ソングシステム)により生み出され、脳内の細胞集団の機能と動物の行動を結びつける本研究の優れたモデルである。 これまでの研究で明らかにしてきたソングシステムの個々の細胞の遺伝子発現情報に基づき、ソングシステムに存在する全ての細胞集団タイプを同定する。さらに細胞集団タイプ特異的に遺伝子発現を操作し、各々の細胞集団がソングバードのさえずり学習・行動をどのように制御しているのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、脳内細胞群が、どのように個体の行動・認知を細胞集団単位で制御しているのかを明らかにすることである。そのために、ソングバードの音声生成回路(ソングシステム)に、どのような細胞集団が存在するのかを網羅的に明らかにし、各々の細胞集団が音声発声学習・生成にいかに関与しているのか、系統比較的に検証した。ソングシステムに存在するすべての神経・非神経細胞種に着目した種間比較の結果、HVCとRAの両方の興奮性投射ニューロンにおいて、種特異的な遺伝子発現が蓄積されている有意な差異を始めて見いだした。この結果は、興奮性投射ニューロンが歌構造の形成に主な役割を担っていることを示唆する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本成果はソングバードのさえずりにおいて種ごとに特徴的な構造が、すべての細胞タイプによってコードされているのではなく、興奮性投射ニューロンによって主に制御されていることを示している。 また本成果は行動の進化と神経回路の分化の関係性について、重要な示唆を提供する。行動を制御する神経回路の分化速度が回路内を構成する細胞タイプによって均一ではなく、一部の細胞タイプの先行する分化によって行動の進化が促されるということ意味する。この概念はソングバードのみならず、種を超えて広く拡張可能であり、今後このような現象が他の動物の行動を制御する神経回路でも発見されることが期待される。
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