研究課題/領域番号 |
20K15896
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山岸 達矢 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50804580)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 超音波発声 / 求愛歌 / 聴覚野 / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
言語によるコミュニケーションはヒト特有であると考えられるが、マウスにおいても発声によるコミュニケーションが存在する。ここで用いられる音声の主音は、ヒトが聴くことができない50-80kHzの周波数を持っており超音波発声と呼ばれる。 本研究の目的は「マウスにおける言語」ともいえる超音波発声に対してマウスの脳がどのように反応するのかを明らかにすることである。本来言語を持たないはずのマウスにおいて、ヒトの言語知覚野(言葉を理解する脳)に近い機能を持つ脳のエリアの発見・解明につながりうる研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は雄マウスが雌マウスに対して歌う求愛歌に対する聴覚中枢の反応領野を解析し、ヒトでいうところの言語知覚野に相当する大脳皮質がマウスにも存在するか調べることである。 フラビン蛋白蛍光観察は、雄の求愛歌に応ずる皮質反応の半球優位性も併せて検証するために両側の聴覚野を同時測定するシステムを構築し、両側同時測定に必 要なレコーダーソフトと解析ソフトの開発は完了し、2021年度には8-10週齢の雄マウス7匹、雌マウス8匹を用いて雄の求愛歌に対する聴覚野反応を両側同時に測 定した。聴覚野の6亜領域(A1,A2,AAF,DA,DM,DP)別に反応ピークの左右差検討を行ったところ、若年の雄、雌はともに明らかな左右差がないことが判明した。 2022年度には交配出産を経験している雌マウス(経産マウス)11匹と交配出産を経験していない同週齢の雌マウス(未経産マウス)5匹を同様の実験を行ったところ、経産マウスのAAF,DA,DM,DPの4領域で左半球の反応が有意に増強していることが判明した。 ヒトでは右利きの95%で言語野(Wernicke野/Broca野)は左半球に存在していることが知られているが、マウスにおける言語的コミュニケーションツールと言われるUSVsも左半球優位に知覚されている可能性がある。マウスは言語を持たない動物とされているが、マウス間のコミュニケーションにおいてヒト言語野と共通する左半球優位性を見いだせたことは非常に大きな成果であり、今後英文論文化をすすめていく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoイメージング画像のデータ収集は令和4年度末までに終えており、Ratio Imaging Analyzerを用いたイメージング画像処理と聴覚野の6つの亜領域(A1、A2、AAF、DA、DM、DP)において有意差検定を行った。求愛歌刺激に対する経産雌マウスの4つの亜領域(AAF,DA,DM,DP)での聴覚応答が同週齢の未経産雌マウスに比して左半球優位であることを示すことができた。この研究成果を福岡市で開催された第124回日本耳鼻咽喉科学会・頭頸部学会総会学術講演会で発表(口演)し、一定の評価を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更は特にない。現状の研究成果で英文論文を執筆し、投稿する。
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