研究課題/領域番号 |
20K15904
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 実奈美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00778764)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ALS / TDP-43 / スプライスバリアント / 運動ニューロン |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロン特異的な脱落により呼吸機能を含む運動機能を全廃に至らしめる最も悲惨な神経変性疾患の一つである。9割以上のALS患者において、運動ニューロンに見られる不溶性構造物である封入体に、RNA結合タンパク質TDP-43が含まれることが示されている。よって、ALSで運動ニューロンの脱落が起こるまでの過程において、共通してTDP-43の異常が関与することが強く疑われるが、その分子メカニズムは未だ不明である。本研究はTDP-43機能異常の是正に着目し、孤発性ALSの病態に迫ると共に新規治療戦略を考案することを目的とする。
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研究成果の概要 |
全長TDP-43に対しドミナントネガティブ活性(ドミネガ活性)を示すTDPsvの神経毒性の有無およびドミネガ活性の発現機序について検証した。本研究成果により、TDPsvのドミネガ活性は全長TDP-43と複合体を形成することにより、全長TDP-43ホモダイマー形成を競合的に阻害することに起因することがわかった。また、iPS細胞由来ニューロンにおいてTDPsvが神経毒性を示すことがわかった。よって通常発現が低く抑えられているTDPsvが一定量を超えた場合、TDP-43の機能異常が促進され、最終的に神経毒性へと繋がることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ALSの9割を占める孤発性ALSにおいてTDP-43スプライシング機能の低下が見られていること、遺伝子変異の有無に関わらずほとんどのALS死後病理においてTDP-43の特徴的所見を示すことから、ALSでは原因に関わらず最終的にTDP-43の機能異常に収束することが示唆される。本研究成果はALSにおいて重要なTDP-43の機能維持メカニズムの解明に繋がる新たな知見を提供することができると考える。本知見をもとに今後はTDP-43の機能を是正するALS治療戦略や、TDP-43の機能をモニタリングしALS診断を可能とするバイオマーカーの開発等に繋がることが期待される。
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