研究課題/領域番号 |
20K15917
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
河田 美穂 藤田医科大学, 医学部, 助教 (90761601)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | マウス ES 細胞 / 視床下部 / 下垂体 / 軸索伸長 / 軸索ガイダンス / バゾプレシン / ES 細胞 / 軸索誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
視床下部神経の軸索誘導は胎生期に完成すると考えられているが、近年、出生後の視床下部においても神経新生が起こることが報告されており、その詳細は未知の点が多い。申請者らが分化誘導したマウス ES 細胞由来視床下部神経系は、内在性視床下部神経と類似した特徴を持ち、成体動物脳に移植すると目的領域へ向けて適切に軸索を伸長することが確認された。そこで本研究では、この実験技術を用いて視床下部神経系の軸索誘導・伸長機構の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
申請者らはマウス ES 細胞から分化誘導した視床下部ニューロンを成体マウス視床下部内に移植すると移植細胞軸索が下垂体後葉まで投射することを明らかにした。先行研究により、反発性ガイダンス因子や細胞接着分子が視床下部の軸索伸長に関与する可能性が示唆されているが、視床下部-下垂体系の軸索ガイダンス機構の詳細は未だ不明な点が多い。そこで本年度は (1) 上記分子群の視床下部-下垂体系における発現を検討した。また、(2) 新規の軸索伸長関連因子を探索する目的で、視床下部室傍核 (PVN)、視索上核 (SON) 領域の RNA-seq を試みた。(1) について胎児脳を用いて検討を行なった。まずバゾプレシン・オキシトシンニューロンの下垂体後葉への軸索伸長時期を免疫染色で確認した。その結果、マウスでは胎生 14 日 (E14)-E16, ラットでは E16-E19 の間に、バゾプレシンニューロン軸索が下垂体後葉へ伸長することが確認された。一方、オキシトシンニューロン軸索は観察されず、出生後の新生児の時期に軸索伸長すると予想された。バゾプレシンニューロンに焦点を当て、軸索伸長関連因子の発現を免疫染色で検討した結果、バゾプレシンニューロン軸索自身や標的部位の下垂体で発現するいくつかの分子を同定した。(2) について、組織が大きいラット脳を用いて PVN, SON 領域の分散を実施した。先行研究を参考にパパインと Accutase による分散を実施した結果、パパインが有効と判断されたが、単細胞レベルまで十分に分散されてはいなかった。そこで、パパインの処理時間を長くした結果、分散度合は高まったが debris も多く出現した。そのため、現行の組織分散プロトコルのさらなる改良が必要であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胎生期の脳において、下垂体後葉に伸長するバゾプレシンニューロンに発現する軸索ガイダンス関連分子および細胞接着分子を絞り込むことができた。その一方で、本年度実施予定であった RNA-seq による視床下部の軸索伸長関連因子の網羅的解析については、組織分散プロトコルの検討まで進んだものの実施に至らなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
マウスやラット胎児脳における軸索ガイダンス因子および細胞接着分子の機能阻害 (中和抗体、阻害剤) がバゾプレシンニューロンの軸索伸長に与える影響を検討する。また、組織分散プロトコルを改良し、PVN, SON 領域の RNA-seq による新規軸索伸長関連因子の解析を行う。発展的目標として、同定した軸索伸長関連因子の発現抑制または強制発現を行なったマウス ES 細胞由来視床下部ニューロンを成体マウス脳内へ移植する。移植細胞の軸索が下垂体後葉へ到達する速度やそれらの軸索数を定量することで、本実験系の再生医療への応用の可能性を探る。
|