ハイリスク症例に対する新しい脊椎脊髄手術モニタリングの開発

• 研究課題/領域番号: 20K15931
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分46030:神経機能学関連
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 舩場 真裕 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00535263)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円); 2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円); 2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円); 2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
• キーワード: 脊椎脊髄 / 脊髄モニタリング / 医療安全 / 脊椎手術 / 脊椎脊髄外科 / 電気生理学 / 硬膜外脊髄刺激筋誘発電位 / 経頭蓋刺激筋誘発電位 / 高難易度脊椎手術 / 新技術

研究開始時の研究の概要

脊椎手術において術中脊髄モニタリングは必須であり全身麻酔下に経頭蓋刺激筋誘発電位(MsEP)を測定可能となり脊髄モニタリングは急速な発展を遂げ汎用されている。しかし最も精度が求められるハイリスク症例では、MsEPが不安定であることが課題である。直接脊髄を刺激する脊髄硬膜外刺激法では、刺激インパルスが運動を司る前角細胞へより多く到達し、脊髄運動ニューロンが発火しやすく、理論的にはMsEP波形がより安定し課題克服が期待できる。
本研究では脊髄硬膜外刺激MsEPを経頭蓋刺激MsEPと比較し、その意義と有用性および真に脊髄硬膜外刺激MsEPが必要とされる症例の特徴について検証することを目的とする。

研究成果の概要

脊髄刺激MEPで20mAで刺激を行ったところTc-MEPよりも振幅増大がえられていたのは全４６筋中１１筋（23.9%）であった。内訳はdeltoidが8筋中2筋（25%）、bicepsが8筋中2筋(25%)、ADMが8筋中0筋、quadricepsが１０筋中４筋(40%)、TAが2筋中0筋(0%)、AHが10筋中3筋(30%)であった。刺激強度が最大20mAではTc-MEPよりもSp-MEPが波形導出には有利ではなく刺激強度を増大させ症例を集積している。

研究成果の学術的意義や社会的意義

いわゆるハイリスク脊椎手術といわれる靭帯骨化症、脊柱側弯症、脊髄腫瘍手術ではその発生率は一般脊椎手術よりも高い。ゆえに脊髄モニタリングは重要な医療安全ツールであるが麻痺が強い症例にはMEP波形導出率が低い問題点がありこの点について解決したく本研究を行った。硬膜外より刺激強度は15-20mAとして10-15回連続刺激して加算平均する手法では従来のTc-MEPより優位に波形振幅が増大される効果は得られなかった。引き続き刺激強度を高めるなど手法を修正し波形導出率の向上に役立つ方法について研究を進めている。

研究成果

• [雑誌論文] The Utility of Transcranial Stimulated Motor-Evoked Potential Alerts in Cervical Spine Surgery Varies Based on Preoperative Motor Status. (2022)
  • 著者名/発表者名: Funaba Masahiro, Kanchiku T, Kobayashi K, Yoshida G, Machino M, Yamada K, Shigematsu H, Tadokoro N, Ushirozako H, Takahashi M, Yamamoto N, Morito S, Kawabata S, Fujiwara Y, Ando M, Taniguchi S, Iwasaki H, Wada K, Yasuda A, Hashimoto J, Takatani T, Ando K, Matsuyama Y, Imagama S.
  • 雑誌名: Spine 巻: 23 号: 23 ページ: 1659-1668
  • DOI: 10.1097/brs.0000000000004448
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 硬膜外脊髄刺激筋誘発電位と経頭蓋刺激筋誘発電位の波形導出効果の比較 (2021)
  • 著者名/発表者名: 舩場 真裕, 今城 靖明, 永尾 祐治, 鈴木 秀典, 西田 周泰, 坂井 孝司
  • 雑誌名: Journal of Spine Research 巻: 12 号: 12 ページ: 1350-1355
  • DOI: 10.34371/jspineres.2021-1202
  • NAID: 130008131379
  • ISSN: 1884-7137, 2435-1563
  • 年月日: 2021-12-20
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] The Impact of Anterior Spondylolisthesis and Kyphotic Alignment on Dynamic Changes in Spinal Cord Compression and Neurological Status in Cervical Spondylotic Myelopathy: A Radiological Analysis Involving Kinematic CT Myelography and Multimodal Spinal Cord Evoked Potentials (2021)
  • 著者名/発表者名: Takuya Sakamoto , Masahiro Funaba, Yasuaki Imajo, Yuji Nagao, Hidenori Suzuki, Norihiro Nishida, Kazuhiro Fujimoto, Takashi Sakai
  • 雑誌名: Spine (Phila Pa 1976) 巻: 2 号: 2 ページ: 72-79
  • DOI: 10.1097/brs.0000000000003735
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] The radiological characteristics associated with the development of myelopathy due to ossification of the posterior longitudinal ligaments at each responsible level based on spinal cord evoked potentials (2020)
  • 著者名/発表者名: Masahiro Funaba , Yasuaki Imajo , Hidenori Suzuki , Norihiro Nishida , Yuji Nagao , Takuya Sakamoto , Takashi Sakai
  • 雑誌名: Clin Neurol Neurosurg 巻: 195 ページ: 105814-105814
  • DOI: 10.1016/j.clineuro.2020.105814
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] 術前高度麻痺症例はMEPによる脊髄モニタリングの有用性が向上する～頚椎手術2476例からのJSSRモニタリングWG多施設研究～ (2022)
  • 著者名/発表者名: 舩場真裕
  • 学会等名: 第51回日本脊椎脊髄病学会